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高齢化社会での地域連携  地域の医療機関、患者さんの「ちょっと困った」を救える病院でありたい

KAWORU
FUJIWARA

名古屋市立大学医学部附属
みらい光生病院

地域医療連携室 室長

高齢化社会での地域連携

地域の医療機関、患者さんの「ちょっと困った」を救える病院でありたい

名古屋市立大学医学部附属みらい光生病院は、2023年4月から新しい診療体制となりました。循環器内科、整形外科を設立し、内分泌・糖尿病内科、皮膚科に常勤の医師を配置しています。前身の名古屋市厚生院附属病院で培った、高齢者を中心とする治療の経験を活かし、急性期病院では受け入れにくいケースにもきめ細やかな治療を提供しています。

診療体制が代わってから約9カ月が経ち、より地域の医療に貢献すべく、さまざまな体制づくりに取り組んでいます。今回は入院の受け入れ体制や、MRIの共同利用などをご紹介します。

急性期病院で受け入れにくい患者さんの受け皿となる

近年患者さんの高齢化が進んでおり、地域の医療機関でも同様でしょう。急性期病院に紹介するほどではないけれど、老々介護や独居など、自宅対応では心配が残る患者さんも多く診られているかと思います。
そのような、自宅での対応が難しい、通院困難や体調悪化の患者さんを気軽にご相談いただける存在でありたいと考えています。診療科の医師も揃っており、当院はリハビリにも力を入れておりますので、体調不良の患者さんに対し入院によってADLを低下させることなく、元気になってご自宅に帰っていただけるような対応を目指しています。
また、当院に入院し検査で大きな病気が見つかった場合は、ご希望に応じた病院への調整はもちろんのこと、名古屋市立大学病院と連携し、お互いにカルテや画像を確認し「すぐに送ってほしい」あるいは「もう少し様子をみよう」とやり取りができるなど、密に連携することも可能です。

そして当院では、高齢者に多い嚥下障害や誤嚥性肺炎、尿路感染症、回復期に該当しない骨折、褥瘡などさまざまなケースに対応しています。

【嚥下障害】多職種でていねいに治療

誤嚥性肺炎は、重症であれば呼吸器内科に依頼しますが、嚥下の問題だけで感染症がなければ、耳鼻いんこう科、歯科口腔外科、リハビリテーション科、栄養科でチームを組んで対応しています。嚥下障害に対しては1週間程度の入院で検査や栄養指導が可能です。サルコペニア、オーラルフレイルの予防を目指す嚥下評価訓練プログラムがあり、初診外来で問診や検査、総合的な嚥下評価を行い、入院後に嚥下内視鏡検査(VE:videoendoscopic evaluation of swallowing)や嚥下造影検査(VF:Video Fluoroscopic examination of swallowing)、口腔機能検査を行います。
嚥下内視鏡検査(VE)は内視鏡を鼻から挿入したまま水分や食べ物を嚥下してもらい、嚥下の状態を評価する検査です。嚥下造影検査(VF)では造影剤を嚥下してもらい、食べ物の流れや咽頭部の動きを見る検査です。次のステップとして言語聴覚士による嚥下訓練、理学療法士による運動訓練、歯科衛生士による口腔ケアやブラッシング指導、管理栄養士による食事栄養指導を行っています。
むせる症状がある方は嚥下機能が落ちている可能性が高く、食欲が落ちてきた方にも嚥下の問題が隠れているかもしれません。高齢になるほど回復が難しくなるので早めに訓練を始められるよう、ご紹介いただきたいと思います。

高齢化社会での地域連携  地域の医療機関、患者さんの「ちょっと困った」を救える病院でありたい

【尿路感染症】入院治療と逆紹介の体制

尿路感染症は高齢者の方に多く、急の発熱で肺炎か尿路感染症の疑いで受診されます。肺炎であればCT、尿路感染症は尿検査でわかるので確定診断は比較的、容易です。急性期病院では入院の受け入れがしにくいケースですが、クリニックに点滴で通えない高齢者や独居の方は入院できた方が安心でしょう。当院は内科で診察するほか、週2回泌尿器科、週1回腎臓内科の非常勤医師が来ており、相談しやすい環境です。ベッドさえ空いていれば入院可能ですので、該当の患者さんが受診された際、そのままご連絡いただければと思います。入院が長くなる場合にはリハビリも可能です。通院が可能なくらい回復されたら、地域の先生に逆紹介としてお戻ししています。

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【骨折】リハビリと生活指導を提供

骨折でご紹介いただくケースに多いのは、圧迫骨折や、転倒によるギプスの固定ですむくらいの症例です。例えば、利き手の骨折で1次処置だけして、日常生活に支障がでる場合や、救急車で運ばれてギプス固定をして、急性期病院で入院する必要がないとされた症例なども受け入れています。整形外科の開業医の先生や、介護保険を利用している方はケアマネージャー、相談を受けた包括支援センターを経てご紹介があります。当院では状況にもよりますが、ほぼ入院をお受けでき、生活が困らないようにリハビリや指導も行います。

【退院サポート】経験豊富なスタッフによる細やかなケア

当院には、急性期病院での経験が豊富なスタッフがおり、退院調整や患者さんのサポートにも対応しています。必要に応じて介護保険の区分変更を早めに行うほか、ケアマネージャーと連携し、訪問看護や訪問診療の導入、退院後の生活支援も積極的に行っています。

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地域の先生方のお役に立つよう、MRIの利用や情報共有を可能に

当院のMRIは地域の先生方にご利用いただけます。2023年12月より午前中に5枠、午後に4枠のうち、放射線科の医師がいる時間に予約枠が広がりました。当院では、大学病院でも使用されている高画質の3テスラMRIを導入しています。3テスラMRIはノイズが少なく、精密な画像が得られ、診断精度の高い機種です。そしてすべてのケースで、常勤の放射線科の医師がていねいに読影のレポートを書いています。

<MRI予約枠>


また、地域の先生方に貢献できる体制として「MIRAI光生ネット」を構築しています。登録医になった診療所の先生方のパソコンで、同意を得られたご紹介患者さんの電子カルテの情報をご覧いただけます。

高齢化社会での地域連携  地域の医療機関、患者さんの「ちょっと困った」を救える病院でありたい

TOPICS   
専門外来を充実させ、小児から高齢者まで治療

専門外来も充実させています。
脳神経内科では、認知症の診断に力を入れています。物忘れに始まる認知症には、脳の器質的な疾患がないかMRIで鑑別診断が可能です。専門医が在籍しており、外来の診察を毎日行っています。名古屋市の中で、認知症2次検査の特定機関として登録もされていますので、認知症の疑いがあれば気兼ねなくご紹介ください。

皮膚科では、赤ちゃんから高齢者までの疾患を扱っています。
皮膚科専門医・レーザー専門医が在籍し、あざや赤ら顔の治療に力を入れています。難治性アトピー性皮膚炎や円形脱毛症に、生物学的製剤、JAK(Janus kinase)阻害剤、レーザー治療も可能です。また、皮膚悪性腫瘍指導専門医による手術を行っています。入院が必要な大きい腫瘍は名古屋市立大学病院と連携しています。保険外診察として、しみや小じわ、にきび、肌質の改善を目指して、レーザーやフォトフェイシャル、ピーリング、エレクトロポレーションなど臨床研究を含めた美容診療を行っています。ケロイド・肥厚性瘢痕にも力を入れています。いずれも臨床写真やエコー等で詳細に評価し経過をみていきます。

地域の先生に寄り添った予約体制

当院は地域に貢献できる病院として、ご紹介の手間を少なくする努力をしています。診療予約申込票を診療情報提供書とともにFAXしていただければ、当院で患者さんと直接、日程を調整いたします。当院の営業は平日のみですが、地域の先生方の診療時間に合わせて、土曜日の午前中も予約を受け付けています。お気軽にご相談いただきたいと思います。

名古屋市立大学医学部附属 みらい光生病院

2023年4月1日より名古屋市厚生院附属病院から「名古屋市立大学医学部附属みらい光生病院」として新たな診療体制でスタート。様々な疾患に対して、関連する診療科が連携して横断的に診療を行う体制を整えるとともに、認知症やフレイルへの対応のほか、先駆的な技術を駆使したリハビリテーションを実施。

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