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「サルビアねっと」で横浜の医療を未来へつなげる

Doctor's interview

SPECIAL
DIALOGUE


横浜市立みなと赤十字病院 病院長 横浜市医療局 地域医療部 地域医療課担当課長

「サルビアねっと」で横浜の医療を未来へつなげる

2026年秋、横浜市立みなと赤十字病院は「サルビアねっと」に参入します。
少子高齢化が進み、医療需要の増大と担い手不足が同時に進むとされる2040年を見据え、医療機関同士が情報を共有し、地域全体で患者さんを支える体制づくりが進められています。

患者さんの暮らしを地域で支えるために

岩崎課長:サルビアねっとは、病院や診療所、介護施設などが患者さんの医療・介護情報を共有し、地域全体で連携するためのICTシステム「地域医療介護連携ネットワーク」の一つです。
横浜市では今後さらなる高齢化を控え、2040年頃を視野に入れた持続可能な医療提供体制のあり方を検討しています。医療と介護ニーズが複合化する85歳以上高齢者の増加により医療需要が大きく増加する一方で、支える世代の減少が見込まれています。また、複数の慢性疾患を抱えながら生活する方が増えることも予想されています。

こうした状況では、急性期医療を担う基幹的病院と地域に密着した病院、かかりつけ医療機関などがそれぞれの機能を発揮しながら連携することで、病気を「治す医療」だけでなく「治し、支える医療」との両面から暮らしを支えていくことが求められていきます。
サルビアねっとは、その新しい医療提供体制を支える情報インフラとしての役割が期待されています。

大川院長:サルビアねっとの意義は、患者さんを中心に据えた医療を実際の仕組みとして形にする点にあります。

患者さんが医療を必要とする過程には、急変による手術などの急性期、状態が安定してからのリハビリテーション、在宅療養やかかりつけ医による継続的な診療へと、さまざまな段階があります。これまでは患者さん自身が診療情報提供書を持参し、医療機関間で情報をつないでいたため、情報の流れが分断されやすいという課題がありました。

ICTを活用して医療機関や介護施設が同じ情報を共有できれば、診療内容は途切れることなく引き継がれます。結果として、より安全で質の高い医療をスムーズに提供することが可能になります。地域全体で一人の患者さんを支える体制づくりが実現します。

「サルビアねっと」で横浜の医療を未来へつなげる

基幹病院と地域をつなぐ情報のハブへ

岩崎課長:サルビアねっとの活用で特に期待していることの一つが、入退院連携の強化です。退院支援に配慮していても、退院予定日や転院調整の状況が、地域のかかりつけ医やケアマネジャーへ十分に共有されないケースがあると聞きます。

サルビアねっとでは退院予定日が自動表示されるため、受け入れ側も事前に準備を進めやすくなります。さらに救急搬送時の情報や現在の入院状況、生活背景なども共有でき、地域の関係職種が継続的にフォローできる体制が整いやすくなります。
サルビアねっとは単なる情報共有ツールではなく、「暮らしを支える医療」を実現するための基盤です。

また、救急搬送時に患者さんご本人が説明できない状況でも、服薬情報や受診歴が共有されていれば、安全な医療につながります。治療内容が複雑化し、ご本人が把握しきれない場合でも、サマリー情報を専門職同士で確認できることで、医療の質の向上が期待できます。

さらに、災害対策の観点からも重要な役割を果たします。かかりつけ医療機関が被災し電子カルテが利用できなくなった場合でも、サルビアねっとに接続していれば、別の医療機関で診療情報を確認し、治療を継続することが可能です。
実際に、熊本県では2016年の熊本地震を契機に地域医療介護連携ネットワークの活用が広まり、その後の水害時には医療機関が迅速に対応できた事例もあります。

大川院長:例えば病院では、患者さんが救急搬送で入院された場合、持参された薬を一つひとつ確認し、薬剤師が内容と残り分の日数を調べています。サルビアねっとで処方情報を確認できれば、その作業を大幅に効率化できます。

これまでも、近隣の病院や診療所の先生方と連携してきましたが、電話やFAXによるやり取りでは情報伝達に時間と手間がかかっていました。ICTを活用し、既往歴や手術歴、過去の検査情報を迅速に把握できれば、より早く安全な医療提供につながります。

実際にサルビアねっとを体験してみると、他院の検査情報や画像データが、自院のシステムで閲覧しているかのようなスピード感で確認できました。情報共有の質と速さは、医療の在り方そのものを変える力を持っています。


実際の画面イメージ


また、急性期病院への入院は、病状が重い時期に限定される方向へとさらに制度は変化しています。状態が安定したらすぐにリハビリテーション病院へ転院するケースは今後さらに増えていくでしょう。患者さんによっては大規模病院の方が安心だというイメージを持たれることもありますが、リハビリテーション病院で毎日しっかり時間をとり、専門の療法士によるリハビリをできるだけ長時間受けられたほうが、回復は早くなります。
このような場合に転院先の探索は重要な業務になります。サルビアねっとの空床管理機能を活用し、地域の空床情報がより円滑に共有・一覧化されるようになれば、転院調整はさらに大きく効率化し、患者さんにとっても利便性や安心感の向上につながります。

ネットワークは“広がり”と”信頼”が力になる

岩崎課長:ICT連携を真に機能させるためには、多くの医療機関・介護施設の参加が不可欠です。
サルビアねっとに加入する施設が増えるほど、ネットワークはきめ細かくなり、連携の幅も深まります。その結果、地域全体としてより質の高い、心の通う医療提供が可能になります。
今回、横浜市立みなと赤十字病院が新たに参加し、横浜市立市民病院も来年度の加入に向けて準備を進めています。すでに横浜市東部病院、横浜労災病院が参加しており、横浜市では基幹的病院の参画を軸に、地域全体へと裾野が広がっています。
同時に、市民の皆さまも安心してご登録いただけるよう、丁寧な広報活動も大切と考えています。サルビアねっとは、患者さんの暮らしを支えるべく、専門職がより良い医療を提供するために活用する仕組みであることをご理解いただけるよう、サルビアねっと協議会と一緒に広報活動にも力を入れてまいります。

「サルビアねっと」で横浜の医療を未来へつなげる

大川院長:患者さんの立場から見ると、やはり個人情報の取り扱いが大きな関心事になるでしょう。マイナ保険証の導入時にも、「自分の個人情報が複数の医療機関やインターネットを通じて共有されること」に対する漠然とした不安の声がありました。

しかし、横浜市が関与し、医療専門職が適切に管理する仕組みの中で情報共有を行うことは、患者さんにとって大きな安心とメリットにつながると考えています。私たち医療機関も、市民の皆さまの信頼を得られるよう、丁寧な説明と適切な運用に努めてまいります。

地域全体を一つの大きな病院に

岩崎課長:2040年を見据え、医療のあり方もひとつの転換点を迎えているのだと思っています。国でも「新たな地域医療構想」策定に向けた議論が進められており、本市でも地域医療介護連携ネットワークやICT連携の推進は重要な論点の一つです。

今後ますます、暮らしのなかの、生活を支える医療としての役割が求められることと思います。その意味でも、医療を“パーソンセンタード”の視点で捉え直した議論が再び求められているようにも感じています。
サルビアねっとが始まって8年目を迎えますが、参加している関係者の皆さんから“この取組は参加機関みんなで一緒に育てていくものだ”という言葉を伺い、その思いがとても印象に残っています。みなと赤十字病院をはじめ新たなメンバーが増えることで、その広がりも使われ方も、ますます身近なものになっていくことを期待しています。

大川院長:日本の医療はいま、「一つの医療機関が完結して診る」形から、「地域全体で一人の患者さんを治し、支える」形へと移行しています。それが患者さんにとって、より良い医療のあり方だからです。

複数の医療機関や介護施設、薬局がそれぞれの役割を果たしながら連携していく。その要となるのが情報共有です。

私は、サルビアねっとを通じて「地域全体が一つの大きな病院のように機能する姿」を思い描いています。その意味で、連携するすべての医療機関だけでなく、薬局や介護施設とともに、できるだけ多くの市民の皆様との間でそのビジョンを共有できることが、横浜の医療をさらに強くすると考えています。

医療が“つながる”ことで、地域はより強くなります。
サルビアねっとを通じて、横浜の医療を次の時代へと進化させていきましょう。

横浜市立みなと赤十字病院

横浜市立みなと赤十字病院は横浜南部保健医療圏の中核病院として二次医療機能を提供しています。 また地域がん診療連携拠点病院として、手術支援ロボットによる低侵襲手術、最新の抗がん薬を用いた治療やゲノム医療にも対応しています。

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