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新体制から半年、医療の質を高め続ける国立国際医療センターのこれから

Doctor's interview

HIDEYO
MIYAZAKI

国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター
病院長

新体制から半年、医療の質を高め続ける国立国際医療センターのこれから

2025年4月の国立健康危機管理研究機構(JIHS)発足、その基幹医療機関として「国立国際医療センター」と名称を改めてから、約半年が経ちました。院内では日々の診療の質を高めつつ、突発的な事態にも対応できる医療提供体制の整備が着実に進んでいます。

変わらぬ使命と、確実に進むアップデート

新体制が始まって半年が経ちましたが、当院が担うべき使命そのものは変わりません。感染症をはじめとする健康危機に確実に対応するためには、平時から高度な臨床能力を維持し続けることが欠かせません。その意味では、統合の前後にかかわらず、当院の総合病院としての役割は揺らいでいません。むしろ、診療の力を確実に高め続けることが、JIHSにおける当院の重要な責務だと考えています。

一方で、統合によって変化が生まれた部分もあります。例えば、感染症に関する情報の流れです。国立感染症研究所が担うサーベイランスの情報が、従来よりも直接的かつ迅速に当院へ届くようになりました。新たに立ち上がった感染症情報提供サイトでは、世界や国内の感染症動向が毎週更新されており、正確な情報をリアルタイムに社会へ届ける体制が整いつつあります。平時から正しい情報を届けることは、有事の際に“信頼できる情報源”として機能するための重要な積み重ねだと感じています。

また、災害派遣医療チーム(DMAT)事務局が機構に加わったことで、大規模災害を想定した訓練の質も一段と向上しました。普段は目に見えにくい部分ですが、緊急時に確実に対応できるよう、備えの体制を強化する取り組みは着実に進んでいます。

新体制から半年、医療の質を高め続ける国立国際医療センターのこれから

“横串”でつながる研究連携

新体制により、国立国際医療研究所と国立感染症研究所という二つの研究所が、同じ機構内で活動するようになりました。これに伴い、近い領域を専門とする研究室同士が交流し、合同の勉強会や共同研究を始める動きが広がっています。これまで以上に横断的な連携が進み、共通するテーマを持つ研究者同士が知識や経験を共有しながら協力し合うことで、研究の質がさらに高まっていくことを期待しています。

また、国内の感染症臨床研究ネットワーク(iCROWN)が拡大しているほか、私が代表を務めるアジア臨床研究ネットワーク(ARISE)でも、ベトナム、タイ、インドネシア、マレーシアなどの国々との協力が広がっています。

がん治療の質を高めるのは、設備と技術、そして“運用力”

今後さらに力を入れていきたいと考えているのが「がん医療の強化」です。

当院には現在、手術支援ロボットが2台稼働しており、CTを撮影しながら治療を進められるハイブリッド手術室も整備されています。手術用ロボットによりがん治療の精度と安全性が向上し、ハイブリッド手術室により病変の状態を即座に確認しながら手術できるため、脳・心血管系手術の精度が大きく向上します。

ただし、設備が整っていれば高度な医療が自然と実現するわけではありません。ロボット手術やハイブリッド手術には、多くの職種が連携しながら関わる必要があり、手術室全体の運用がとても重要になります。どの手術をどの時間帯に配置するか、どのスタッフをどの手術にアサインするかといった管理体制が整ってはじめて、設備を最大限に活かした質の高い医療が実現します。

“安全性を確保しながら効率よく運用する仕組みそのもの”を強化していくことで、当院のがん医療をさらに進化させていきたいと考えています。

新体制から半年、医療の質を高め続ける国立国際医療センターのこれから

生殖医療から低侵襲手術まで横断する幅広い専門性

2025年10月には、産婦人科診療科長 大石 元先生が副院長に就任しました。
大石先生は、生殖医療、更年期医療、周産期医療、婦人科腫瘍など、幅広い分野で経験を積まれてきた医師です。体外受精といった生殖補助医療に携わる一方で、子宮筋腫や子宮内膜症など、より複雑な病気に対しても、ロボット支援手術や腹腔鏡手術、経腟手術など、体への負担が少ない手術を多く行ってこられました。特に、癒着が強く難しいケースにも対応できる技術を持っていることは、大きな強みだと感じています。
また、生殖医療を受けた方の中には、妊娠後にハイリスク妊娠として特別な管理が必要になる場合がありますが、大石先生は治療から妊娠、そして分娩までを一貫して診ていくことができます。生殖医療と手術医療を組み合わせ、妊娠・出産まで切れ目なく支えることができる医師は、全国的にもそう多くはありません。

副院長としては、先生の幅広い臨床経験に加えて、手術医療の運営面でも力を発揮していただけると期待しています。当院は手術支援ロボットやハイブリッド手術室を備えた“手術集約型の総合病院”であり、安全で効率のよい手術環境を整えるための運用の最適化が欠かせません。大石先生には、手術室の運営や安全管理のさらなる強化をリードしていただけると考えています。

大石先生は非常にエネルギッシュで、常に前向きな姿勢で取り組まれる方です。新しい視点を柔軟に取り入れながら、当院の手術医療をより発展させてくださると確信しています。

“平時に備え、有事に動く”医療機関としての使命

コロナ禍では、陽性の患者さんであっても緊急手術が必要なケースに積極的に対応し、当院では約70例の緊急手術を行いました。他の医療機関では受け入れが難しい状況でも、陰圧手術室を活用し、患者さんと医療者の双方の安全に細心の注意を払いながら治療を続けてきた経験は、当院が果たすべき役割を改めて示したと感じています。

感染症や災害などの健康危機は、今後も確実に起こり得ます。そのため、平時から備えを整え、有事の際にはできるだけ早く対応できる体制を保ち続けることが重要です。また、当院は全国で88施設しかない特定機能病院の一つでもあります。地域の皆さんに高度で総合的な医療を提供し続けることは、これからも変わらない大切な使命だと考えています。

地域の医療機関の先生方とは、感染症やがん治療だけでなく、慢性疾患など幅広い領域で日頃から連携させていただいています。ご紹介いただいた患者さんについては、治療の経過や結果を丁寧に共有し、情報を確実にお返しすることを心がけています。退院後には地域の診療所やクリニックの先生方に診療を引き継いでいただき、患者さんが切れ目なく治療を継続できる体制を今後も大切にしていきたいと思っています。

より安心して受診できる病院を目指して

当院では、新たな基本方針として「患者さんを尊重した安全・安心の医療」「高度な総合診療」「医療人の育成」「地域医療への貢献」を掲げています。診療科や部門の間に大きな隔たりがなく、互いに協力しながら医療を進められることは当院の大きな強みです。この特長を活かし、これからも患者さんが安心して受診できる病院づくりに努めていきたいと考えています。

また、患者さんやご家族から寄せられるご意見は、毎週の病院会議で必ず確認しています。これまでも授乳室の設備改善、面会時間の見直し、個室をご利用の患者さんの動線調整など、いただいた声をもとに一つずつ改善を進めてきました。今後も、お気づきの点があればどうぞ遠慮なくお知らせください。
皆さまの声を受け止めながら、より良い病院を目指して取り組みを続けていきたいと考えています。

新体制から半年、医療の質を高め続ける国立国際医療センターのこれから

国立国際医療センター

高度急性期医療と先進研究を担う特定機能病院。救急・感染症・がん・国際診療など幅広く強みを持つ。 2025年4月1日、国立国際医療研究センターと国立感染症研究所が統合し、「国立健康危機管理研究機構(JIHS)」が設立。

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