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地域との信頼関係を大切に、”患者さんに満足のいく医療”を提供したい

Doctor's interview

MASAHIRO
KAWANISHI

医療法人 医仁会
武田総合病院

副院長・患者サポートセンター長 脳神経外科 部長

地域との信頼関係を大切に、”患者さんに満足のいく医療”を提供したい

武田総合病院は2024年7月、PSCコア施設(一次脳卒中センターコア施設)に認定されました。25年間武田総合病院にて治療に従事し、副院長・患者サポートセンター長を務める脳神経外科 川西 昌浩医師は、病院全体の地域医療連携の促進や、脳神経外科(脳卒中センター)の診療体制の整備に取り組んでいます。

地域医療連携の流れを円滑にする患者サポートセンター

川西医師:私は脳神経外科部長かつ副院長であるとともに、患者サポートセンター長を務めています。武田総合病院の患者サポートセンターは、地域の医療機関との円滑な連携を推進すべく、医師や看護師、社会福祉士、事務職員が1つの組織となり2019年に開設されました。
当院は救急告示病院として、急性期医療に重点を置き、24時間救急医療を行う体制を整えています。しかし、より多くの患者さんの命を守っていくためには、地域の先生方のご理解は必要不可欠です。専門的な治療が必要な患者さんは当院へご紹介いただき、病状が落ち着かれた後の外来治療・療養はお任せし、ともに患者さんを支えていく必要があります。
この流れをより円滑にすることが、患者サポートセンターの一番大きな役割です。地域の先生方が患者さんの紹介先をお探しの際お困りにならないよう、患者さんの受け入れを断らない方針です。日々忙しくされている地域の先生方を力強くサポートしていくことも、我々の大切な使命だと考えています。

細かく丁寧な報告で紹介元にも患者さんにも安心を届けたい

川西医師:断らない方針は救急でも同様です。救急医療センターでの専従医の対応はもちろん、各専門科の当直体制も整え、受け入れを強化いたしました。当院が救急で断らない方針を実現していくためには、急性期後の患者さんを受け入れていただく後方支援病院との連携も重要です。近隣の後方支援病院には、日ごろからご協力をいただいており、スムーズな連携が取れていますが、転院の際にはやはり患者さんご本人とご家族の不安は大きいものです。脳神経外科の領域は後遺症が残りやすいこともあり、転院への不安はとりわけ大きいと思います。そのため、患者さんが入院されたときから病状をご理解いただくとともに、転院を含めた回復に向けての流れを丁寧に説明させていただき、転院先の病院に受け入れをお願いするように努めています。
また地域の先生方と密に連携していくため、ご紹介いただいた患者さんの経過報告は詳細に行うことを心がけています。脳神経外科で手術を受けられた場合、手術前、手術後、退院後など、もし治療に迷われている場合は、外来にてその都度相談させていただき、頻回にお返事するよう心掛けています。地域の先生方はご紹介いただいた患者さんの病状や様子について、とても案じていらっしゃいます。治療を任された身として、しっかりと患者さんのご報告を行うことは、信頼関係の構築はもちろん、医療連携に重要なことだと感じています。
このような取り組みは、医師のみならず多くのスタッフの協力が必要ですし、今後ますます必要となってくる業務のDX化も欠かせません。院内業務負担の軽減にも取り組んでいます。

地域との信頼関係を大切に、”患者さんに満足のいく医療”を提供したい

脳卒中の患者さんを救うために整えてきた環境とチームワーク

川西医師:当院は脳卒中ケアユニット(SCU :Stroke Care Unit)を6床有し、脳卒中急性期の患者さんに対し、脳卒中診療担当医師(うち脳卒中専門医6名)が24時間365日脳卒中患者に対するrt-PA療法(血栓溶解療法)及びカテーテル治療(機械的血栓回収術)を行っております。ひきつづき専門の看護師、理学療法士や言語聴覚士などのリハビリスタッフがチームとなり、超急性期からリハビリを行い、一般病棟に移動後に本格的なリハビリが開始されます。その後も集中治療を行い、病棟の看護師やサポートセンター員が患者さんやご家族と密なコミュニケーションを取り、転院などをサポートしております。脳卒中相談窓口も設置し、日本脳卒中学会認定の脳卒中療養相談士が患者さんとご家族に対して情報提供や相談支援、復職支援までおこなっております。

これらは脳卒中学会が認めるPSCコア施設(一次脳卒中センターコア施設)の認定要件をすべて満たしており、2024年度、同学会に施設認定登録を申請しております。当院に搬送されてから退院されるまで、多職種でチームとなり様々な面で患者さんとご家族をしっかりと支えてまいります。

地域との信頼関係を大切に、”患者さんに満足のいく医療”を提供したい

早期対応と治療後のサポートは、地域全体での協力が必要

川西医師:脳卒中で搬送される患者さんは近年非常に増加しており、高齢の患者さんは特に増加傾向です。脳卒中は発症から3時間、遅くとも6時間以内に処置を行うことが非常に重要ですが、高齢化率の上昇や独居の増加により発見や搬送までの時間を要してしまうなど、高齢化社会に伴う問題は多々あります。この問題の解決には、日ごろから患者さんへの脳卒中に関する啓蒙・啓発が必要であり、地域の先生方にもご協力いただきたい部分です。
また、患者さんが激しい頭痛を訴えている、呂律が回らないなど、少しでもおかしいと感じられたら躊躇することなく当院へお送りください。24時間365日、血栓回収治療を行う体制を整えており、時間外であっても随時、脳卒中治療の当直医がMRI検査から立ち合い対応することが可能です。治療後のリハビリについても充実を図っており、土日もリハビリができるよう体制強化を進めています。
しかし病床には限りがあるため、更にリハビリが必要となる患者さんについては、地域の回復期・療養型の病院への転院や、クリニックへの外来受診など、地域の先生方にもご協力いただきながら患者さんの社会復帰を支えていきたいと考えています。

また、現在当院の脳神経外科では、救急専従の対応や脳血管内手術や内視鏡治療など、各々専門分野が異なる医師がチームワークを発揮し治療にあたっています。チームで診ているため、自分の担当患者さんでなくとも対応することができる体制です。脳卒中に限らず、脳、脊髄、末梢神経領域で迷うことやお困りのことがあれば、気兼ねなくぜひともご紹介ください。

脊椎圧迫骨折に対するセメント治療のパイオニアとして数多くの実績

川西医師:私は2002年以降、脊椎圧迫骨折に対するセメント治療(経皮的椎体形成術)を多く手がけてまいりました。脊椎が圧迫骨折すると激しい痛みを伴い、身体・精神ともに大きな影響があります。この治療は局所麻酔でメスを使用せず、短時間で行えるため患者さんの負担が少ない治療だと言えます。手術自体は5分~10分で、麻酔などの時間を入れても30分程度で終了します。1999年に武田総合病院に着任した当初は、圧迫骨折の治療はすべてコルセットを装着して安静にしてもらうという治療が標準的でした。その頃から圧迫骨折に対して、セメント手術で痛みが取れることは文献上では明らかになっていましたが、実践経験を積むため海外に渡りトレーニングを繰り返し、動物実験を行い、2002年に治療の実現に至ることができました。昨年の9月よりDSA装置(血管造影装置)の導入により、さらに精度の高い治療が可能になっています。

セメント治療の適応は圧迫骨折直後の、強い痛みがある場合です。低侵襲で患者さんへの負担が少なく、痛みをしっかりと取ることができますので、圧迫骨折に苦しむ患者さんにはぜひご案内ください。

地域との信頼関係を大切に、”患者さんに満足のいく医療”を提供したい

患者さんを幸せにしたい。今も留まることはない医療への追及心。

川西医師:私が脳外科医を志したのは、医学生時代の脳外科の教授に憧れたことがきっかけでした。最初は単なる憧れでしたが、手術実習で頭部から目の神経を見た時、あまりの美しさに衝撃を受け、脳神経外科の医師として働くことを一生の仕事にしたいと強く思いました。しかし、私が脳神経外科を志した40年前では、患者さんが手術後に亡くなったり、重症となることがしばしば起こっていました。本当に何度もくじけそうになりました。同じ轍を踏まず、どうしたらうまくいくのか、その一心で動物を使ってひたすら手術修練をし、海外渡航をして遺体解剖を繰り返し、多くのエキスパートから学び、自分たちの診療を学会や論文執筆を通じて公表、他者評価を受けてきました。

武田総合病院に着任してからは、早25年が経ちました。脳や脊髄といった重要な臓器に病気を患った患者さんに少しでも幸せになっていただくにはどうするべきか、培った経験や技術、知識をどのように患者さんに還元し社会貢献するかを考えるようになりました。7人の後輩とチームを組んで常に研鑽を積み、患者さんへの負担を軽くして満足していただける治療をこれからも提供してまいります。

地域との信頼関係を大切に、”患者さんに満足のいく医療”を提供したい

医療法人 医仁会 武田総合病院

「地域医療支援病院」として、高度医療を核に、総合的な診療体制を確立。 地域の健康文化の発信基地として、人々のからだと心のケアを支える。

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