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急性期病院として貢献し、地域の先生と「和」をもって連携したい

Doctor's interview

SATOSHI
ICHIYAMA

医療法人 医仁会
武田総合病院 院長

急性期病院として貢献し、

地域の先生と「和」をもって連携したい

武田総合病院は武田病院グループに属する京都市伏見区の中核病院です。1976年の開院から約50年間、地域医療に貢献してきました。武田病院グループは8つの病院のほか、クリニックや健診センターなどの医療施設、介護・福祉施設を有し、地域の医療から介護まで支える役割を担っています。
一山 智(いちやま さとし)院長は、京都大学医学部附属病院副病院長、滋賀県立総合病院総長・病院長を務めたのち、2023年4月に武田総合病院に着任しました。

救急車を積極的に受け入れ、地域医療に貢献したい

一山院長:武田総合病院は、許可病床数500床の地域医療支援病院です。25の診療科と21の専門外来、消化器や糖尿病、総合リハビリ、疾病予防、血液透析に特化したセンターを配置しています。また、訪問看護ステーション、患者サポートセンターを設置して地域医療に取り組んできました。

当院は救急告示病院として24時間、救急医療を行う体制です。ICU、HCU、SCUを完備し、救急車で運ばれてくる患者さんの治療を行っています。当院の果たすべき役割として、救急車を原則的に受け入れる方針です。コロナ禍で難しい状況もありましたが、昨年以降5類感染症に移行しました。私は感染対策の専門家として、過度な警戒は必要なく、通常どおり救急車を受け入れるようにしましょうと訴えてきました。病院職員の幹部、科長にも意識がだいぶ浸透したのではないでしょうか。今は応需率が約90%であり、内科・外科・小児科・産婦人科・循環器内科・脳神経外科で当直に入る体制です。地域の患者さんや先生方に対する責任を強く意識しています。

急性期病院として貢献し、地域の先生と「和」をもって連携したい

地域の先生方に慢性期や回復期医療を託し、当院では急性期医療を担う覚悟

一山院長:今、さらに進めたいのは後方連携です。医療機関にはそれぞれの役割があり、武田総合病院は急性期医療を担うべき存在です。先進的な医療を提供し、人材を育成する役割も求められます。慢性期や回復傾向にあるケースは外来も含めて開業医の先生に診ていただくことで、地域医療がうまく循環するのではないでしょうか。現在、医師の働き方改革が話題になっています。医師の負担できるリソースには限界があり、看護師は人手不足です。急性期病院はマンパワーを専門的な治療に集中させて開業医の先生と適切に役割分担をすれば、お互いを活かすことができます。そのためにも当院は地域の先生に頼られる存在でありたいと考えています。

地域医療連携の一環として、地域の先生方に向けて勉強会などの学術活動も行っています。日頃から連携を密にして、遠慮なくいろいろなことを相談していただきたいと思います。地域の先生方と共に、地域医療を支えていきたいのです。

急性期病院として貢献し、地域の先生と「和」をもって連携したい

先進的な医療機器の導入や他院との連携で、よりよい医療を

一山院長:当院は中核病院として、新しい医療機器を積極的に取り入れており、近年では手術支援ロボットのダヴィンチやデジタル差分血管造影装置(DSA:Digital Subtraction Angiography)を導入しました。
ダヴィンチは、人の手が届きにくい腫瘍などの手術では特に有益です。当院では泌尿器科や呼吸器外科の手術に活用され、今後は他科でも運用できるよう目指してまいります。
DSAはカテーテルで血管内に造影剤を入れてX線撮影し、造影前の画像を差し引いて見やすくする撮影法です。通常の造影検査より造影剤の量が少なく、診断と同時に手術もできるメリットがあります。当院では精度の高い機種を使っており、解像度の高い画像が得られます。DSAは患者さんの負担が軽く、入院期間も短くなるため脳神経外科領域の患者さんが増えました。
このほかCTやMRIなどの医療機器を用意しています。またがんの放射線治療装置を武田病院グループの施設と連携したり、グループ以外にも京都大学をはじめ大学病院や国公立の病院など、つながりのある病院・先生方と連携したりし、患者さんに必要な医療の提供に努めています。

急性期病院として貢献し、地域の先生と「和」をもって連携したい

感染症と医療安全の専門家として、地域医療の重要性を痛感

一山院長:私の専門は感染症と医療安全です。免疫不全者における重症感染症の術後管理など、感染症全般を扱ってきました。京都大学に赴任した当時、院内感染や臓器移植の際の感染症が問題となっており、院内横断的な感染症に対する対策の取り組みを全国で初めて行いました。
また、国公立大学附属病院感染対策協議会の二代目会長を務め、院内感染を防止するための「病院感染症対策ガイドライン」を作成しました。協議会は文部科学省の管轄ですが、厚生労働省が感染対策を後押しするために、医療機関の感染防止対策加算、地域連携加算を増設する際、私たちが作成したガイドラインを参考にしています。

国公立大学附属病院感染対策協議会でも、大学病院や基幹病院は地域連携の核となるべきだという考えを持っていました。大学病院・基幹病院が開業医の先生も含めて連携して地域を守る意義は、コロナ禍でも伝わっていたのではないでしょうか。大規模な感染症蔓延の対策には、行政が指導力を持ちます。大学病院や地域の基幹病院は行政とタッグを組んで、学術的なアドバイザーとして正しい方向性を示すことが大切です。
コロナ禍の前におきた新型インフルエンザの感染拡大の際は、京都府新型インフルエンザ等対策有識者会議で委員長を務めました。コロナ禍と同様、発熱外来の立ち上げなど、それぞれの病院に役割をお願いするため、京都府の担当事務官と一緒に各病院を訪問しました。

このような経験から、地域との医療連携の重要性を痛感しています。武田総合病院は、地域医療連携について体制が整っていますが、より強固なものにしていきたいと考えています。

医療は貢献したい気持ちと結果が近いから、喜びも大きい

一山院長:中学・高校では剣道に熱中していました。中学では姫路で1番強かったんですよ。体はそれほど大きくありませんが、真正面から攻めていくのが得意技でした。夏は面を着けていると汗だくになりますし、冬は裸足であかぎれができます。剣道には忍耐強さを学びました。今でも私のことをサムライのようだという人がいます(笑)。
そんな10代のころを振り返ると、人々に貢献したいという思いがありました。しかしどのような仕事でも人々に貢献しています。なぜ医療がクローズアップされるのかというと、貢献したい気持ちと結果が近いからだと考えています。患者さんの病状がよくなれば、その場で感謝の気持ちを伝えていただけます。逆に、患者さんの死や厳しい状況にも直面し、ときには落ち込むこともあるでしょう。だからこそ、喜びも大きいのです。

急性期病院として貢献し、地域の先生と「和」をもって連携したい

組織でリーダーシップを発揮し、地域の先生と「和」の心でつながりを

一山院長:これまで病院管理者としてさまざまな経験をしてきました。組織のリーダーとしてまず大切なことは、職員に話す言葉の主語は自分であることです。組織の進むべき方向性を示し、いわば旗を立て、決してぶれないことです。
次に重要なことは、仕事に優先順位をつけ、いわば引き算をして、必要な仕事を職員に指示していくことです。そうすることによって組織の持っているパワーを最大限に発揮することができると考えています。
組織をまとめていく一方で、開業医の先生方と地域医療連携するためには、お互いの思いの最大公約数を見つける必要があります。それぞれの先生方に、ご自分の組織のリーダーとしてのお考えがあるので、対話を重ねながら「和」を大切に、よい関係を築いていきたいと思います。
武田病院グループの理念である「思いやりの心、地域社会の信頼、職員相互の信頼」を実現できるように、力を尽くしてまいります。

急性期病院として貢献し、地域の先生と「和」をもって連携したい

医療法人 医仁会 武田総合病院

「地域医療支援病院」として、高度医療を核に、総合的な診療体制を確立。 地域の健康文化の発信基地として、人々のからだと心のケアを支える。

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