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横浜市立大学附属病院が目指す地域医療連携とは

Doctor's interview

SPECIAL
DIALOGUE

横浜市立大学附属病院

病院長・副病院長/患者サポートセンター長

横浜市立大学附属病院が目指す地域医療連携とは

地域の先生方との信頼関係を軸に、よりよい地域医療の体制を築いていきたい。

後藤病院長

地域の先生方との信頼関係を育むことが、地域医療の基盤であると考えています。

横浜市立大学附属病院に赴任し、地域とのつながりを強化しようとしていた矢先に新型コロナウイルスが発生しました。コロナ禍では、稼働できる病床が平時の3分の2程度にまで減少する時期もあり、ご紹介いただいた患者さんをお断りせざるを得ず、近隣の医療機関の皆さまにも大変なご不便をおかけしました。2023年の5月にコロナが5類に分類され、積極的な紹介患者さんの受け入れが可能になりました。これを受けて、今後は一層力を注いで地域医療連携を推進していきたいと考えています。

田村患者サポートセンター長

当院の地域医療連携は、国内でも先進的な取り組みをされている佐久総合医療センター様を参考にさせて頂いており、実際に視察にも赴きました。当院において取り入れられる仕組みは積極的に取り入れるようにしてきました。患者サポートセンターを立ち上げもその中の一例です。これまで別々となっていた入退院支援部門と医療相談部門の統合したことにより、PFM(Patient Flow Management)の向上にも繋がったと感じていますし、今後も患者サポートセンターが中心となり、より良い地域医療連携の体制構築に尽力していきたいと思っています。

特定機能病院として、高度な医療を必要な方へ適切な医療を届けていく。

後藤病院長

当院は大学病院として、地域の医療機関から患者さんをご紹介いただくことで機能しています。厚生労働省も、多くの疾患分野において「2人主治医制」を推進し、かかりつけ医療機関と専門病院が連携して包括的な医療を提供する方針です。当院も「地域医療機関との緊密な連携と役割分担」を中期計画に明確に盛り込んでいます。

地域の先生方や患者さんが当院を選択下さった際に、円滑に受入れができるように「スムーズな受け入れ体制にしていこう」と日頃から当院のスタッフに呼びかけています。しかしながら、大学病院は人員の入れ替わりが早いため、近隣の医療機関の先生方や地域住民の皆様に、当院にどのような医師がいるのか」「特長やスキルはどのようなものなのかをより早く広くアピールしていく必要性を強く感じています。

当院において、最近の高度先進医療の取り組みを一部あげると、外科領域では、ロボット手術の設備はオペ室に2台あり、ほぼ毎日稼働しています。整形外科専用ロボット手術や脳外科の定位脳手術などの先進的な治療も行っています。保険収載されている手術に加えて、まだ保険収載されていない新しい治療も可能となっています。

内科領域においては、肝疾患のNASH(Non-Alcoholic SteatoHepatitis:非アルコール性脂肪肝炎)や、血液がんのCAR-T(Chimeric Antigen Receptor-T cell:キメラ抗原受容体遺伝子改変T細胞)療法も手掛けていますし、がん治療においては、がんゲノム診療連携病院に指定されており、効果的ながん治療が選択いただける支援体制を整えています。横浜市医師会などのご協力をいただき、早期膵がん診断プロジェクトも成果を上げつつあります。田村先生が担当されている腎臓高血圧内科の分野においても、厚生労働省に採択された慢性腎臓病診療連携モデルを構築しましたし、横浜市でトータルキドニーケアを実践する協議を立ち上げています。形成外科においては、2022年から血管腫など新しい分野の診療も対応できる体制となりましたし、リハビリテーションにおいては、急性期の手術を受ける患者さんへの早期介入できる体制や積極的な心臓リハビリテーションを行っているのも当院の強みであります。

その他にも当院は専門性の高い治療を多く提供しています。地域の医療機関の先生方との緊密な連携を通じて、高度な先進医療を求める患者さんに、適切な医療を提供できる体制構築に努めたいと思います。

横浜市立大学附属病院が目指す地域医療連携とは

より身近な存在として、大学病院から働きかけていきたい
ドクター同士の信頼感を醸成していく活動

田村患者サポートセンター長

患者サポートセンターとしては、積極的に患者さんを受け入れる姿勢を持ち続けたいと思います。地域連携懇話会では地域の先生方と直接交流する機会を設け、顔が見える連携を意識しています。最近では、かかりつけ医の先生方を訪問させていただき、先生方のニーズをヒアリングし、当院で改善に活かしています。各診療科においても講演会を開催し、情報を広く共有していく活動も継続して行っています。約900の協力医療機関と連携し、前方連携を推進するだけでなく、2人主治医制度で患者の後方支援にも力を注ぎ、かかりつけの先生方からのご指導もいただき、実質的な連携体制の強化に努めていきたいと考えています。

加えて、患者さんをご紹介いただく際に、かかりつけ医の先生方から「どの診療科に紹介すべきか」「自身の診断に誤りがないか」という不安の声をお聞きします。こうした場合、当院では各診療科が、ご紹介いただいた先生方に遅滞なく適切なフィードバックができるように鋭意努力しています。

横浜市立大学附属病院が目指す地域医療連携とは

後藤病院長

かかりつけ医の先生方への訪問活動は好評をいただいており、当院としても今後も一層強化していきます。実際に診療を行っている医師が、対面で治療内容についてお話することで、お互いの信頼関係が築かれていることを実感しています。先生方が、信頼する病院に自分の大切な患者さんをご紹介するのは自然なことであり、本来の連携の在り方です。これまでは同門やお世話になっているクリニックの先生方をお招きして交流会や勉強会を開催してきましたが、日頃の交流が少ない先生方や、疎遠になってしまった方々にも積極的に訪問し、信頼を築いていきたいと考えています。お会いした際には、ぜひとも当院へのご意見やご要望を率直にお伝えください。

最後に。

後藤病院長

地域医療連携において重要なのは、障壁を極力なくし、真摯にご相談に応じることだと考えます。ご紹介いただいた患者さんについては、必ず紹介元の開業医の先生にお戻しするよう、当院教職員を指導しています。

また紹介のし易さの向上にも取り組んでいます。これまではご紹介時はFAXでのやり取りが一般的でしたが、今後は予約枠を増やし、通信技術(ICT)を活用したコミュニケーションを積極的に取り入れていきます。ご紹介下さる開業医の先生、また近隣病院様側もご多忙と思われますので、手間を最小限に抑え、便利なご紹介方法を提供できるよう、具体的な計画を進めてまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

田村患者サポートセンター長

横浜市立大学附属病院は高度先進医療を特色とする特定機能病院であると同時に医療従事者の教育病院でもあります。若手医師には、専門分野の知識や技術だけではなく、地域医療の構造や自らの責務までを理解した医師に育って欲しいと思っています。指導には十分配慮していますが、地域のかかりつけの先生方に限らず広く医療従事者の方々におかれましては何かお気付きの点などあればご遠慮なくお知らせいただければと思います。地域のかかりつけの先生方をはじめ、薬剤師、看護師、保健師、施設の事務職員の方々にも、当院の医師を含む医療従事者の指導を意識いただけるような関係を構築して参りたいと思っています。地域の医療を向上させるため、今後も引き続きご指導・ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

横浜市立大学附属病院が目指す地域医療連携とは

横浜市立大学附属病院

『市民が心から頼れる病院』の理念のもと、『高度かつ安全な医療』の提供とともに、 神奈川県にある唯一の公的医育機関附属病院として、『質の高い医療人を養成』することを使命に診療。

  • 所在地

    神奈川県横浜市金沢区福浦3丁目9

  • 病床数

    674床 (一般:612床、精神:26床、結核:16床、臨床試験専用病床:20床)

  • URL

    https://www.yokohama-cu.ac.jp/fukuhp/

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