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日常の医療に全力を尽くしつつ未来の医療を開拓する

Doctor's interview

NORIHIKO
IKEDA

東京医科大学病院
呼吸器外科・甲状腺外科 主任教授 / 副院長

日常の医療に全力を尽くしつつ未来の医療を開拓する

最先端の技術を駆使し、完治と低侵襲の両立を

依然として全てのがんの中で死亡率が最も高い肺がん。複数の病気を持たれている高齢者の罹患率も高く、治療に際しては身体的な負担も考慮しなければなりません。 早期発見と、低侵襲手術によって患者さんの負担を大きく軽減し、術後数日での退院を実現しています。

肺がん早期発見には検診や人間ドックが有効

池田教授 肺がんは全てのがんにおいて死亡数が最も多く(男性1位、女性2位、2021年)、罹患数も依然として 増加傾向にあります。一方で手術が行われた肺がんでは病期I期が約75%を占めることから、検診や人間ドック等によって早期に発見された効果が出ていると考えられます。

非常に早期の肺がんの場合、自覚症状はほぼなく、定期検査が唯一の発見動機になります。また、1cm程度の陰影などはレントゲンでは発見が難しいサイズで、 CT検査で発見されることもしばしば経験されます。いわゆる肺がんのハイリスク群といわれる、50歳以上でタバコを長年吸っておられる方は一度CT検査を受けると良いでしょう。また、タバコを吸わない40歳代の女性もレントゲンでは発見しずらい淡い性状の小型の腺がんを罹患されることもあるため、心配な場合はCT 検査をおすすめしています。検査で陰影が発見された場合はお気軽に当院の診察をご予約ください。

日常の医療に全力を尽くしつつ未来の医療を開拓する

新しい技術を駆使した気管支鏡検査

池田教授: レントゲンやCTに陰影が出現した場合は、 さまざまな可能性があり、肺炎、良性腫瘍、肺がんなどを見分けなければなりません。確定診断のために気管支鏡検査を行います。生検(陰影から組織を採取すること)を行い、顕微鏡で検査を行い、原因を診断します。がんであれば遺伝子変異やPD-L1発現も調べ、薬物治療を行う際には有効な薬剤を選択します。

気管支鏡検査において、1センチ程度の陰影を正確に診断するのは、かなりの技術が必要でした。気管支は何度も分岐する迷路のような場所だからです。気管支鏡を確実に病変の近くに誘導するために「3Dナビゲーションシステム」を採用しています。私も開発に携わったものですが、カーナビのように気管支鏡の挿入すべき気管支も道筋を案内してくれます。通常の気管支鏡画像とナビゲーションシステムのモニターを見比べながら精密な気管支鏡検査が行われています。

真摯に手術へと向き合う

池田教授: 手術を行う場合は術後の回復を考えると、 特に高齢者の患者さんに対しては体への負担をできるだけ減らすことが望まれます。当院での手術は胸腔鏡手術、あるいはロボット支援手術が肺がん手術の95%以上を占めます。器具を挿入するポートのサイズは大きいものでも20ミリ、手術時間も2時間30分程度です。 開胸手術は進行がんや複雑な操作が必要な場合に行います。

また、2cm以下でおとなしい性質の肺がんは切除範囲を狭めた縮小手術でも根治が可能で、この術式は肺の組織をより多く残せます。入院から退院までおおよそ1週間弱で退院される方がほとんどです。胸腔鏡 手術とロボット支援手術の効果や必要な体力に大きな差はありません。病気の状況を検討し、ご意向を伺いながら相談させていただけたらと思います。

人工知能が開拓する新しい医療

池田教授: 手術はチーム戦です。息の合った術者と助手の腕が、共同して動くと感じられるような手術が理想です。チーム内での手術の目的共有とコミュニケーションを重視しています。同時に、手技のスキルアップは必須です。

外科医のスキル向上のために実際に行った手術動画を見ながらのフィードバックや術前のシミュレーショントレーニングなど、仕事が終わってからの訓練も欠かせません。AIがベテラン医師の動画を解析し、模範的な手順を示すなどトレーニングの技術革新を期待しています。また、AIを画像診断に導入することによって、異常陰影の発見、病名の診断や遺伝子変化まで解明される時代も来ようとしています。我々も企業と一緒に取り組んでおります。

日常の医療に全力を尽くしつつ未来の医療を開拓する

大学病院としての使命

池田教授: 蓄積された診療データは貴重な財産ですから、最大限に活用したいと考えています。治療して回復された患者さんのさまざまなデータを集めてを解析することで、将来の何千人という命を救う有意義な研究をおこなうことが大学病院の使命の一つと考えています。たとえば検査が済んで余剰した血液や組織をもとに研究を進めれば肺がん発生のメカニズムの解明や新しい診断・治療法に結びつく可能性が生まれます。今、目の前の患者さんを治療しつつ、将来の多くの方に役に立つことを創出するビジョンを持ちながら診療にあたっております。


次世代人材育成、地域への貢献、そして社会への情報発信も重要な大学の責務です。個人的には市民講座、特に小学生~高校生に向けたがんの講義が大切ではないかと考えています。「タバコは有害」と言われたところで、その理由が説明されて理解することが重要です。

例えば、肺がんとはどういう病気で、タバコを吸うと肺がんになりやすいことを正しく伝えるためには医師による出張講義が最適だと思われます。社会貢献と言葉にすると大げさですが、身近なところでの情報発信などお役に立てることが多いと思っております。

大学病院ならではの総合力を発揮する

肺がんのため来院された方でも他にも糖尿病、高血圧、不整脈、脳梗塞など複数の病気や既往歴をお持ちの方が多いです。一度に複数の病気を治療、コントロールしなければならないため、すべてに対し専門医が対応可能な大学病院が力を発揮できると考えます。

一方で、進行がん等で新薬による薬物治療を長期に受けられる場合、仕事との両立や経済面などさまざまな悩みを抱かれる患者さんもいらっしゃいます。その場合は総合相談・支援センターがお話をうかがい支援しますのでご安心ください。

さらに私どもは、これまでにお話ししてきた呼吸器外科だけでなく甲状腺外科も併設しており、専門医も多く所属しています。全国の病院の中でも有数の診療経験を有しています。充実した設備と人材で手厚くフォローします。
どのような疾患であっても早期発見が大切です。何か違和感があればお気軽に、すぐにご相談ください。二人三脚で患者さんの未来を支えてゆきましょう。

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東京医科大学病院

東京医科大学病院は新宿副都心に位置する「特定機能病院」であり、都区西部「地域がん診療連携拠点病院」に指定されています。

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