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早期発見に向けてさらに前進 内視鏡センターが専門外来をスタート

Doctor's interview

TAKASHI
KAWAI

東京医科大学病院
内視鏡センター センター長

早期発見に向けてさらに前進
内視鏡センターが専門外来をスタート

2023年4月 、内視鏡センターで専門外来がスタートしました。内視鏡検査に特化した内視鏡センター、その使命は「早期発見」「早期介入」です。
患者さんへの負担が少ない低侵襲な内視鏡検査・治療で、健康寿命の延伸に貢献いたします。

早期発見を使命に開設された内視鏡専門外来

河合教授2003年の独立以来、内視鏡センターは上部 および下部内視鏡検査を担当する専門の診療部門として年間1万5000例を超える診断を行っています。20年目を迎え、さらなる進化として2023年4月、より早期発見に向けて貢献するべく内視鏡専門外来を開設しました。

その背景には早期診断技術の向上と内視鏡的治療 の進歩があります。現在は、非常にクリアなハイビジョン画像やNBI(Narrow Band Imaging)と呼ばれる狭帯 域光観察によって病変を早期発見できるようになり、予後も大変良くなりました。 内視鏡センターの役目は重篤な疾患の治療よりも、健康診断に近い早期発見・早期介入に重きを置いています。扱っている主な疾患は①食道がん、胃がん、②ヘリコバクターピロリ感染症、③大腸ポリープ、大腸がん ④胃内細菌です。軽い胃の不調やピロリ菌の有無と いった非重篤と思われる内容でも、お気軽にご紹介いただければと思います。

早期発見に向けてさらに前進 内視鏡センターが専門外来をスタート

大学病院の総合力を活用できる内視鏡センター

河合教授長期にわたって消化器ばかりを見ていますと、先ほどの「一見軽い内容」の中にも、将来がんになりやすい胃炎などが隠れていると分ってきました。また、患者さんの主訴と悪性度が一致するとは限りません。 初期の消化器がんは自覚症状がほとんどありません。 さらなる早期発見に向けて、スクリーニングとフォローに特化した内視鏡センターが立ち上がりました。 内視鏡センターの強みは「総合力」にあります。まず各学会の認定医・専門医・指導医が多数所属しております。検査中に見つかった病変組織は迅速病理診断によってすぐに分かりますし、入院による精密検査が必要になったとしても、同じ病院内でスムーズに手配可能です。手術に至る場合は、消化器内科と消化器外科でカンファレンスを行い、複数の目で的確に診断して最適な治療法を決定します。消化器領域に強い大学病院のリソースを余すところなく活用できる環境が、内視鏡センターには整っております。

早期発見に向けてさらに前進 内視鏡センターが専門外来をスタート

内視鏡の進化と生存率の向上

河合教授消化器内科医として30年以上診療に当たっていますが、ますます消化器の奥深さに魅了されています。 その理由の一つが内視鏡の進化です。30年前に使用していた内視鏡は先端にフィルムカセットを物理的に仕込むタイプで、どのような画像が撮れているか検査中は全く分からない上に16枚程度しか撮れず、現像にも1週間以上必要だったのです。

それに比べると、現在の内視鏡はハイビジョン画像 や80~120倍の拡大画像をモニターに映しながら検査できるようになり隔世の感があります。早期の消化器がんなら内視鏡的にポリープ切除術(ポリペクトミー)、粘膜切除術(EMR)、粘膜下層剥離術(ESD)で治療可能になったのも大きな進展です。 早期胃がん(限局型)の5年相対生存率は96.7%(2009から2011年診断例)とはるかに向上しました。以前は小さくても開腹手術でしたから、内視鏡は患者さんの負担軽減にも大きく貢献しています。一方で私ども内科医師の視点から考えると、切除や剥離、止血といった手技を勉強しないといけません。 30年以上消化器を見続けても興味が尽きない理由は、治療技術の進歩と学びにあります。

負担の少ない検査で確実なフォローアップを実現

河合教授30年の進歩をもう少しお話しすると、最近では咽頭反射の少ない経鼻内視鏡検査を希望さ れる患者さんが非常に多くいらっしゃいます。当院も2004年ごろ世界に先がけて経鼻内視鏡を採用し、当時はまだ導入病院も少なかったため疫学的な意義も感じバイタルサインを記録しながら経鼻内視鏡検査を実施しました。心肺機能に及ぼす影響が少なく患者さんが楽に受けられる検査だと判明しました。

さらに、経鼻だと嚥下を妨げないため食道の蠕動運動を観察でき、食道アカラシアなどの診断・鑑別にも大変有効です。以前は経口に比べて画質が低かったのですが、近年は遜色ないレベルまで画質も向上しています。疾患が強く疑われる患者さんには、やはり視野角が広く拡大倍率も高い経口内視鏡が適していますが、スクリーニングや経過観察の患者さんには経鼻内視鏡を使用しています。鼻腔内の表面麻酔で済むのも、呼吸抑制や転倒などの危険がなく安心です。

内視鏡検査は1回で終わりではなく、フォローアップとして定期的に行う検査です。患者さんの不安を取り除き、できる限り安心・安全に受けられる環境を整えたいと考えています。患者さんの負担を減らせるよう、内視鏡メーカーとも意見交換を行いながら製品開発に反映していただいています。

早期発見に向けてさらに前進 内視鏡センターが専門外来をスタート

下部内視鏡検査をより多くの患者さんへ

河合教授大腸ガンは罹患数1位(2018年)、また死 亡数でも女性で1位に上ります(2019年)。高齢化や 食生活の変化などにより年々増えていますが、自覚症状が乏しく、大腸がん検診の受診率の低さが課題です。患者さんにとって下部内視鏡検査は上部内視鏡に比べ、心理的に高いハードルがあるようです。 もっと気軽に受診できれば早期、あるいはポリープ などの前癌病変で発見できるケースが増えると考えています。

そのために医師の技術向上が求められます。実は食道から胃のシンプルな構造に比べ、大腸の 形状はひとりひとり異なり、内視鏡の挿入には高いスキルが必要なのです。そこで内視鏡センターでは、 内視鏡挿入形状観測装置(endoscopic position detection unit: UPD)を導入しました。これは磁界を利用して内視鏡の挿入ルートを3次元で表示できる装置です。UPDを使えばリアルタイムで内視鏡の状況を把握でき、大腸内への挿入をサポートします。また、次回の内視鏡検査で保存したUPDデータ を参照すれば、より負担のないオーダーメイドの挿入が可能です。X線を利用しないため被曝のリスクもありません。早期発見という大きな目的のために、安心・安全で痛みも少ない検査法を積極的に採用しています。

下部内視鏡検査では、女性は男性に比べて痛みを強く感じる傾向にあります。なぜなら、女性は男性に比 べて体格が小さいことに加えて骨盤内臓器もあるため、狭いスペースに腸が複雑に折りたたまれているからです。しかも腸が癒着しているケースが非常に多く、痛みを感じる方が多いようです。現在のスコープは男女兼用ですから、女性用に小さめのスコープ が開発されれば痛みも減少し、検査に前向きな方が増えるでしょう。開発コストとの兼ね合いもあるでしょうが、現場の声をメーカーへ届けるのも私の仕事だと考えています。

地域との連携で挑むハイリスク群のフォロー

河合教授冒頭で「軽い胃の不調やピロリ菌の有無でもお気軽にご紹介いただければ」とお伝えしました。これには次の ような理由があります。まずピロリ菌保有者では、胃がんの発症リスクが5倍になるとの報告がありますから、 きちんと除菌することが大切です。またピロリ菌の除菌に成功しても慢性胃炎が残存するケースを数多く認めます。慢性胃炎の中でも前癌病変とされる腸上皮化生を認める場合は、胃がんのハイリスク群として注意が必要です。実際に10年後、15年後の発がん症例もありました。除菌後も内視鏡による定期的なフォローアップが欠かせません。このように、一見ありふれたピロリ菌に対しても要検討項目が多数あります。

「このような軽い症例を紹介していいのか」と悩まずご連絡ください。患者さんを開業医の先生方と協働でサポートできたらと思います。現在、内視鏡センター外来は1日当たり30~40件ほどの予約を受け付けています。少ない印象を持たれるかもしれませんが、患者さんの安全・安心を優先し、問診・検 査・リカバリー全てのステップをていねいに行っているためです。約1カ月先まで混雑傾向にありますが、急患用の枠も用意しています。まずは下記の窓口までお電話いただき、予約をお取りください。

TEL 03-5339-3808
総合相談・支援センター医療連携担当直通
平日: 8:30~16:40
第1・3・5土曜日: 8:30~ 11:40

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東京医科大学病院は新宿副都心に位置する「特定機能病院」であり、都区西部「地域がん診療連携拠点病院」に指定されています。

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