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順天堂 循環器内科 南野教授と心臓血管外科 田端教授のスペシャル対談

Doctor's interview

Special
Talk

順天堂大学大学院
循環器内科 心臓血管外科

南野教授と田端教授の
スペシャル対談

南野教授田端教授は就任にあたって心臓血管外科をどのようにしていきたいか教えてください。

田端教授個々の患者さんに最適な治療を提供できるチームにしたいと思っています。昔ながらの胸骨正中切開による手術だけでは患者さんの病状やニーズに応えきれません。私は胸骨を切らない低侵襲心臓手術 (MICS)やカテーテル治療をライフワークとして取り組んできましたので、これらの低侵襲治療から複雑な拡大手術まですべての治療選択肢を持つことで、医療者側のバイアスなく患者さんに最適な治療を受けて頂けると考えています。

南野教授胸骨を切らない低侵襲心臓手術(MICS)の話がでましたが、現在どこまでの手技が可能なのか、またそのメリットを教えて頂きたいです。

田端教授MICSで一番多いのは僧帽弁形成術ですが、そのほかに大動脈弁置換術、僧帽弁置換術、三尖弁形成・置換術、心房細動に対するメイズ手術、心臓腫瘍摘出術、冠動脈バイパス術など幅広く適応しています。MICSのメリットは3つあります。一つ目は、早期退院・早期社会復帰です。これまで1000例以上のMICSを執刀していますが、術後在院日数の中央値は5日です。術後1~2週間での職場復帰も可能です。二つ目は、出血量や輸血量が少なくて済むことです。胸骨を切らないため骨髄からの出血がないことがその理由です。三つ目は、胸骨を切らないため胸骨感染や胸骨動揺といった胸骨関連の合併症がない、という点です。

順天堂 循環器内科 南野教授と心臓血管外科 田端教授のスペシャル対談

南野教授ダヴィンチを使用した手術も盛んに行われるようになってきてますが、その点はいかがでしょうか?

田端教授私が行っているMICSは内視鏡を使って肋骨を広げずに行うことが特徴で、ダヴィンチを使った心臓手術と創の大きさや侵襲度は変わりません。ダヴィンチ心臓手術では2名の習熟した外科医(ダヴィンチパイロットと患者の横に立つ外科医)が必要になり、またコストが大きい事などからこれまで積極的に取り組んでいませんでしたが、ロボット手術に力を入れている順天堂大学に来たことをきっかけに取り組んでいきたいです。MICSがやりづらい高度肥満の患者さんや胸郭の前後径が小さな患者さんの手術に有用だと考えています。ロボット手術のメリットとして、内視鏡心臓手術で必要な極めて高度な手技の習熟がなくても、手ぶれもなく感覚的に手術機器や針を動かせるというメリットがあります。自動車の運転に例えるなら、これまでマニュアル運転だったものがオートマチック運転になるようなものですので、ロボットが普及すれば手術の習熟までの時間が短くなって若手心臓血管外科医への門戸が広がるかもしれません。

南野教授現在AIなども登場してきていますが、AIについてのお考えはいかがでしょうか?

田端教授そうですね、個人的にはとても期待しています。医療におけるAI活用は画像診断の分野が先行していますが、例えば術前の心エコーやCT画像から最適な手術プランをAIが導くような形で心臓血管外科の分野でも活用が進むと予想しています。これまで経験と勘に頼ることの多かった心臓手術を標準化することで、どこでも安全で確実な手術を患者さんに提供できる時代が来ると考えています。

順天堂 循環器内科 南野教授と心臓血管外科 田端教授のスペシャル対談

南野教授若い医師を集めるのは非常に難しい事だと思っています。私自身は中堅の医師が生き生きと働いていることが新入局員獲得には一番大事なことだと思っています。

田端教授たしかに私も大学病院で研修医をやっていた時に心臓血管外科の先輩医師たちが疲弊しているのを見て大学を出たという経緯がありました。長年日本の心臓血管外科では、外科医がICUや病棟に張り付いて術後管理をするとか、執刀医になるまでに長年の下積みが必要というスタイルが一般的でした。これまで勤務していた病院では、外科医が本来の仕事である手術治療に専念できるように集中治療医や診療看護師などと協働し、かつ能力があれば若いうちから手術を執刀できる体制を作ってきましたので、順天堂でもチーム医療をさらに充実させて、若手外科医にとって魅力的な環境を作っていきたいです。また循環器内科と心臓血管外科の関係がうわべだけでなく良好であることは、互いの若手医師にとって重要な点ですので、循環器内科とは垣根のない関係を築いていきたいです。例えば、研修において互いのローテーションをするなどコラボレーションしていけば、より現在の若い先生達のニーズに沿えるのではないかと考えています。

南野教授・田端教授より開業医の先生方へ

ハートセンターとして内科・外科の垣根を越えてバイアスのない治療選択を提示出来る事ができると考えております。内科か外科どちらに紹介すればよいかわからないという患者さんは、どちらに紹介していただいても紹介先で治療方針が変わることはありません。また、大学病院に紹介するのは病状が早すぎるのではないか、あるいは遅すぎるのではないかとお考えのような患者さんでも、最先端の知見と多くの治療経験からベストな治療方法とタイミングを一緒に考えていきたいと考えております。どのような患者さんでも気軽にご相談頂きたいと考えております、よろしくお願いいたします。

順天堂大学医学部附属順天堂医院

順天堂大学医学部附属順天堂医院は、特定機能病院の指定および先進医療・救急指定病院の指定を受けた総合病院です。 28の診療科と1,036床の病床を有し、1日平均899人の入院患者・平均3,515人の外来患者さんの診療を行っています。

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