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ゲノム診療により治療の選択肢を広げ、患者さんのラストホープに応える

Doctor's interview

GENOME
CENTER

浜松医療センター
ゲノム診療センター

ゲノム診療により治療の選択肢を広げ、

患者さんのラストホープに応える

ゲノム医療が大きく進化する今、遺伝子レベルで疾患の原因が解明されるようになり、治療につながる可能性が高まってきました。
ゲノム診療センターではがんに特化した「がんゲノム医療」と、難病をはじめとした幅広い疾患を扱う「遺伝子診療」の2部門を展開。
専門的な診断に加え、認定遺伝カウンセラーが手厚くフォローする万全の体制を強みとしています。

がんゲノム医療と遺伝子診療の2本柱で
地域のゲノム医療を担う

金岡医師日本のがんゲノム医療は、「がんゲノム医療中核拠点病院」「がんゲノム医療拠点病院」「がんゲノム医療連携病院」の3階層となっていて、各階層で役割を担っています。その目的はがん診療の均てん化を推進することにあります。当院は2018年10月にがんゲノム医療連携病院に認定され、2019年1月にゲノム診療センターを急ピッチに立ち上げ、まずはがんゲノム医療が実践できるようプラットホーム作りに着手しました。2019年6月頃から保険診療としてがんゲノム診療を開始しました。 遺伝子という究極の個人情報を扱うにあたっては、ゲノム医療を安心・安全に提供する体制を作ることが欠かせません。

そこで当センターでは臨床遺伝専門医・指導医(日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会の共同認定による)をはじめ、遺伝性疾患を扱う診療科の医師や病理担当の技師、薬剤師、がん看護専門看護師(日本看護協会により認定)、遺伝カウンセラー(日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会の共同認定による)など、ゲノム医療に必要な組織を整備。小児の先天性疾患などがん以外の遺伝子診療や遺伝カウンセリングについても充実を図り、現在はがんゲノム医療と遺伝子診療の2部門を運営しています。

ゲノム診療により治療の選択肢を広げ、患者さんのラストホープに応える

がん遺伝子パネル検査は保険診療と自費診療の両方に対応

金岡医師がんゲノム医療においては、OncoGuide TM NCCオンコパネルとFoundation®︎One CDxがんゲノムプロファイルという複数の遺伝子を調べるがん遺伝子パネル検査が認可されています。 NCCオンコパネルの解析遺伝子数が124であるのに対し、 FoundationOne®︎ CDxは324と3倍近く多いので、8~9割の方はFoundationOne®︎ CDxを希望されます。ゲノム医療の認定を受けていない病院でこれらの検査を受けると自費で約56万円かかりますが、当院なら約17万円(3割負担の場合)なので費用面の負担が軽くて済みます(状況により高額医療費制度が適用される場合もあります)。

これに加え、当院ではPleSSision®︎検査(プレシジョン)という自費のパネル検査も扱っています。約2万遺伝子を解析するプレシジョンは、人間の遺伝子をほぼ網羅するほど情報量の多い検査です(エクソーム検査の場合)。自費で約100万円かかるため最初は保険パネルをお勧めしますが、治療前の検査も可能なので、大阪や新潟など遠方からお越しになる方もいらっしゃいます。近隣のがんゲノム医療連携病院でこれに対応する施設は少ないのですが、当院は慶應義塾大学病院と連携して検査体制を作ってきました。保険診療と自費診療、両方の選択肢を提案できるのは当院の強みの1つと言っていいでしょう。

患者さんにとってがん遺伝子パネル検査はラストホープ

金岡医師がんに対してはガイドラインで推奨される標準治療があり、それが終わると患者さんは途方に暮れてしまいます。しかし、がんの原因遺伝子が明らかになれば次なる治療の可能性が出てきます。原発不明がんや希少がんも同様で、遺伝子変化を調べることで治療への期待が持てるようになりました。医師としても、従来は標準治療の後は治療法がないと言うしかなかったのですが、「この遺伝子異常がある人はこの治験に参加できますが、いかがですか」と提案できるようになった、これは大きな意味があります。

ただし、がん遺伝子パネル検査を行っても、何らかの遺伝子変化が判明して次の治療につながるのは8人に1人とされます。 7人は有効なものが見つからないわけですから、あまり意義がないという見方もできるでしょう。しかし、ある患者さんとお話しした時、「8人に1人は見つかるなら、それは大きな数字です」と言われてハッとしました。そのくらい、患者さんにとって遺伝子検査はラストホープなのです。それ以来、検査で何か見つかる可能性があるが、その確率や費用がどの程度なのかをしっかり伝える。そして最後の決定は患者さんに任せる。当院の門をくぐ った患者さんにはこのような提示をするように心がけています。

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遺伝子診療部門では遺伝性腫瘍や難病、周産期に関する診断を実施

緒方医師がんは遺伝子に異常が起きて発生します。出生時は問題がないのに細胞分裂する中で遺伝子異常が出現するのが後天性のがんです。もう1つ、がんになりやすい先天的要素のある人ががんになるパターンもあります。FoundationOne® CDxは後天性のがんを見つけるために開発された検査ですが、その過程で先天性のがんも見つかります。それとは別に、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)のような先天性のがんをターゲットとする検査もあります(BRCA1/2遺伝学的検査)。この検査は乳がんや卵巣がんの患者さんで、45歳以下で乳がんを発症した人や血縁者に乳がん・卵巣がんの患者さんがいる人など、一定条件を満たせば保険が適用されます。通常は発症してから遺伝子を調べますが、この検査は発症前の人も自費なら受けることができます。HBOCだと判明したら乳房の予防的切除や卵巣卵管の予防的リスク低減手術などをご提案し、検査後もしっかりフォローします。

上記のような遺伝性腫瘍のほか、遺伝子診療部門では難病と周産期も診ています。難病の多くは先天性疾患で、遺伝子検査によって治療の方向性や予後、合併症などが分かります。その診断方法は2つあり、1つは保険診療として、臨床診断後の確定診断のために行うものです。もう1つは診断がつかず保険でカバーできない場合に行うもので、当院では浜松医科大学との共同研究の一環として診断しています。このように保険診療の検査だけでなく、研究に関しても対応しているのが当院の特徴です。周産期の部門は近年大きく進歩し、新型出生前検査(NIPT)では母体血だけでダウン症などの有無が分かるようになりました。2022年6月、当院は日本医学会のNIPT基幹施設に認定されたので、同年9月から新型出生前検査を実施するようになりました。

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遺伝カウンセラーによる診断後のフォローが充実

金岡医師診断結果を伝えると、内容によっては皆さんかなり精神的にショックを受けます。この時に心のケアを担うのが、専門のトレーニングを受けた遺伝カウンセラーです。例えば、遺伝性疾患だと分かるとその方のお子さんや兄妹、両親、いとこ、甥や姪など、枝分かれした先でどうなるかが問題になります。そのため血縁者に影響する可能性がある旨を伝えるだけでなく、正確な情報を説明してフォローしなければなりません。

だから遺伝カウンセリングもセットで対応できる病院でなければ保険診療が認められないわけで、それだけスタッフの充実が重要なのです。当院には常勤の遺伝カウンセラーが2名いますが、この体制を組める病院は比較的少ないのではないでしょうか。がん看護専門看護師も一緒に患者さんを支援しますし、事務スタッフが専門的な知識をつけてサポートしてくれるのも心強いことです。

いつ遺伝子検査を受けるべきか、タイミングを迷う方もいらっしゃるかもしれません。通常、がん遺伝子パネル検査の検体を提出してから患者さんに報告するまで約6週間かかるため、治療終了後よりも治療中の検査をお勧めしています。せっかく良い情報が得られても、病気が進むと治療にそぐわないこともあり得るからです。地域の先生方には、ぜひこのような情報を知っていただきたいと思っています。当院では年に数回、院内の医師や看護師に私たちの取り組みについて周知する場を設け、当院の患者さんがゲノム診療の機会を失わないよう努めています。

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両親が自らを責めずに済むなど、遺伝子検査の効果に期待

緒方医師小児の遺伝子検査のうち頻度が高いのが発達障害で、遺伝子解析によって50%程度で原因が分かります。そこには2つのメリットがあり、1つはご両親に次のお子さんができた時に同じ病気が出現する割合や、患者さんの兄妹が将来お子さんを生む時の発症率が分かることです。もう1つのメリットはお母さんの精神的負担を軽減する効果です。発達障害のお子さんを持つ母親は、妊娠中に何かあったのではないかなど、しばしば自分を責めますが、生まれつきの病気だと分かれば、自分のせいではなかったと心が軽くなることがあります。

こうしたメリットを享受するためにも、症状があるのに原因が分からない患者さんがいらっしゃれば、ぜひご紹介ください。

小児の場合は、近隣の先生方が発達医療センターなどの医療機関を紹介し、そこからワンクッション置いて当院に紹介されるパターンが多く見られます。遺伝子検査を目的としてダイレクトに当院に紹介されることは少ないのです。しかし、発達障害などを診療する病院は他にあっても、医療の発展に寄与するべく研究に取り組む病院は少ないのが現状です。どの病院で研究的なところまで行っているかをご両親が知るのは困難なので、まずは地域の先生方に当院の特徴について知ってほしいです。

浜松医療センター

静岡県西部地区を診療圏とする高度総合医療機関であり、地域医療支援病院、災害拠点病院、地域がん診療連携拠点病院、地域周産母子医療センター、アレルギー疾患医療拠点病院、日本脳卒中学会一次脳卒中センター、そしてゲノム医療連携病院の責を担っている。

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