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迅速で的確な診療と治療をサポートする順天堂医院の画像診断チーム

Doctor's interview

Diagnostic
imaging

順天堂大学医学部
順天堂大学医学部 循環器内科学講座 准教授 心エコーグループ

迅速で的確な診療と治療をサポートする

順天堂医院の画像診断チーム

循環器診療の現場においても狭心症、心不全、心臓弁膜症などの心血管疾患の診断・治療の進化や患者の高齢化の中で非侵襲的かつ目に見える形で情報を提供できる画像診断の役割は大きなものとなっている。順天堂医院は2021年には1374件の心臓CT、372件の心臓MRI、675件の心筋シンチグラフィを施行、また年間約18,000件の心臓超音波検査と約4,800件の血管超音波検査の数を誇り、いずれも大学病院では日本の中でトップクラスの件数を誇る。
循環器画像診断を専門とする藤本医師と心エコーを専門とする宮﨑医師に話を聞いた。

ガイドライン最上位のクラスとして推奨される「心臓CT」

冠動脈の内腔評価を行う通常の冠動脈CTに加え、TAVI(経カテーテル大動脈弁植え込み術)術前や、カテーテルアブレーション術前の形態評価のCT撮影、また、心臓外科手術において重要な情報となる、大血管と心臓の3D構築も数多く行っています。特に冠動脈CTは安定狭心症の診断における第一選択検査として欧米や日本のガイドラインでも最上位のクラスとして推奨されています。
また冠動脈CTでは狭窄の程度だけでなく、プラークについての情報も得ることができるため、血行再建の適応だけでなく一次予防に対する診断、治療にも寄与しています(図1)。また本誌1号でも紹介されたように近年は冠動脈CTからFFRによる虚血評価をできるため追加の検査をすることなく、カテーテル検査の必要性を安全に判断することができます。

狭心症の疑いで冠動脈CTを施行したところ左前下行枝近位部に陽性リモデリングとプラーク内の低CT値領域をともなう病変を認めました。このような病変は狭窄度は高度でなく、虚血も認められないため血行再建の適応はないものの将来心筋梗塞を発症する確率の高い不安定プラークと考えられ、生活習慣指導やスタチン等の薬物療法といった一次予防を積極的に行いました。

図1 冠動脈CT 左前下行枝近位部病変

狭心症の疑いで冠動脈CTを施行したところ左前下行枝近位部に陽性リモデリングとプラーク内の低CT値領域をともなう病変を認めました。このような病変は狭窄度は高度でなく、虚血も認められないため血行再建の適応はないものの将来心筋梗塞を発症する確率の高い不安定プラークと考えられ、生活習慣指導やスタチン等の薬物療法といった一次予防を積極的に行いました。

的確な診断を支える「心臓MRI」

心不全の原因は多岐にわたりまた疾患によって治療法も異なることがあるため、的確な診断をすることが重要です。心臓MRIを用いた心筋繊維化の診断(遅延造影)や定量的な評価ができるT1 mappingは心不全の原因検索に大きく貢献しています。またシネMRIを用いた心機能評価はその客観性や再現性という観点では心エコーよりも優れており左心室容量や収縮能だけなく、ストレイン解析や右心室機能の解析も積極的に行っています。

多角的方面からアプローチ

「心臓核医学検査」

近年安定狭心症の診断に冠動脈CTが広く普及しているものの、心臓核医学検査は、造影剤アレルギーや腎不全のある患者さんや高度な石灰化やステント留置によって冠動脈CTでの診断が困難なケースで多く活用されています。また虚血性心疾患の評価だけではなく、心不全の原因検索を目的として、本誌2号でも紹介されたATTR型アミロイドーシスの診断におけるピロリン酸シンチグラムや、近年新しい疾患概念として話題になっているTGCV(中性脂肪蓄積心筋血管症)の診断基準となるBMIPPシンチグラム(図2)、心サルコイドーシスの診断目的におけるPET検査も積極的に活用し、多角的方面からアプローチする診療を行っています。

図2 BMIPP心筋シンチグラフィー

BMIPP安静心筋シンチグラムを施行したところ、Washout rate 5.1%と10%以下に低下しており、その他の項目も満たしたことからTGCV(中性脂肪蓄積心筋血管症)と診断されました。

藤本医師メッセージ

常に最新の検査を導入し、より迅速で的確な診療・治療ができるようサポートしていますのでさらなる検査が必要もしくはお困りの症例がありましたらぜひご紹介いただければと思います。

迅速で的確な診療と治療をサポートする順天堂医院の画像診断チーム

進化し続ける心エコー

心臓超音波検査は、心電図と並んで循環器診療に欠かせないスタンダードな検査の一つです。順天堂医院生理機能検査室には9台の超音波診断装置が常設されており、年間約18,000件の心臓超音波検査と約4,800件の血管超音波検査を行っています。心臓超音波検査のうち、非侵襲的な経胸壁心臓超音波検査は検査技師が主体となって実施し、経食道心臓超音波検査や負荷心臓超音波検査は心臓超音波検査を専門とする医師が実施しています。経食道心臓超音波検査は年間約400例、負荷心臓超音波検査は約100例実施していますが、ニーズの増加に伴い、今後も実施数増加が見込まれます。

近年の超音波画像技術、特に3次元画像技術の進化は目覚ましく、リアルタイムで解像度の高い3次元画像を描出することが可能となっています。3次元画像の進化により、弁膜症手術前の詳細な弁構造の評価が行えるようになり、また、カテーテルによる構造的心疾患(弁膜症や先天性心疾患など)の術中モニタリングにも経食道3次元超音波画像は欠かせないものとなっています(図1)。

図1 僧帽弁のLive3D画像とカラー3D画像

負荷心臓超音波検査には、ドブタミンなどの薬物を用いた薬物負荷心臓超音波検査と、臥位エルゴメーターを用いた運動負荷心臓超音波検査などがあります。エルゴメータを漕ぐことができない患者さんには、ハンドグリップを用いた簡便な負荷検査を行う場合もあります。ドブタミン負荷検査は主に虚血性心疾患や、弁膜症の評価に用いられています。運動負荷検査は虚血性心疾患や弁膜症の評価の他に、運動誘発性肺高血圧症や、閉塞性肥大型心筋症の運動による変化を評価するためにも実施されます。

スタッフ左から宮﨑、伴山、栗田、金子氏

心臓超音波断層像から算出される左室駆出率(LVEF)は、左室収縮能のスタンダードな指標として長年用いられていますが、スペックルトラッキング法という比較的新しい超音波画像技術を用いた心筋ストレイン(歪み)の評価が注目されています。この技術を用いて算出されるグローバル長軸ストレイン(GLS)は、LVEFよりも鋭敏な左室収縮機能障害の指標として有用であることが多数の研究で報告されています。実臨床でも心アミロイドーシスや化学療法に伴う心機能障害の早期発見にストレイン評価が利用されており、当院でも必要な症例には通常の計測項目に加えて、スペックルトラッキング法によるストレイン評価の結果を報告しています。

図2 患者さんに仰向けに寝てもらい、ベッドを左下に傾斜させた状態でエルゴメーターのペダルを漕いでもらいながらエコー検査を行う。

宮﨑医師メッセージ

質の高い超音波検査を行うためには、検査者は多くの症例を経験し、十分なトレーニングを行う必要があります。当院の検査技師、心臓超音波に携わる医師は順天堂医院の豊富な症例から十分な経験を積み、日本超音波医学会や日本心エコー図学会の認定を受けることで質の高い医療を提供できるよう、日々研鑽しております。

迅速で的確な診療と治療をサポートする順天堂医院の画像診断チーム

順天堂大学医学部附属順天堂医院

順天堂大学医学部附属順天堂医院は、特定機能病院の指定および先進医療・救急指定病院の指定を受けた総合病院です。 28の診療科と1,036床の病床を有し、1日平均899人の入院患者・平均3,515人の外来患者さんの診療を行っています。

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