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見逃されがちな肺高血圧症を他科との連携強化で早期診断/治療につなげる

Doctor's interview

Konishi
Hakuoh

順天堂大学医学部
順天堂大学医学部 循環器内科学講座 肺高血圧グループ

見逃されがちな肺高血圧症を他科との連携強化で
早期診断/治療につなげる

肺高血圧症に対する治療薬が開発され、肺高血圧治療は、この20年で大きく進歩した。順天堂医院では、膠原病内科、呼吸器内科、消化器内科など院内連携を強化しており、早期診断、治療に繋げる環境を整えている。
現在、肺高血圧症専門外来を循環器専門医3人体制で対応しており、2021年12月現在、肺動脈性肺高血圧症患者68人と慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者48人合計約120人の肺高血圧症患者をフォローしている。肺高血圧グループの責任者である小西医師に順天堂医院における肺高血圧への取り組みをご説明いただいた。

肺高血圧症の初期症状として、労作時呼吸困難感を自覚されることが多い反面、年齢や他の併存疾患により、見逃されていることも多くあります。当院では、病診連携に特に力を入れていると共に、院内連携を密に取ることで、循環器内科以外の科に紹介された患者さんも気軽に呼吸器内科、膠原病内科、消化器内科、総合診療科から相談を受ける体制を取っております。

また、肺高血圧症を合併する可能性のある結合組織病・門脈圧亢進症患者の通院数が多く、膠原病内科と消化器内科から多くの患者が紹介されて来ております。肺動脈性肺高血圧症診療において、基礎疾患を有する場合、結合組織病・門脈圧亢進症への治療も重要であり、特に院内連携に力を入れて診療をしております。

見逃されがちな肺高血圧症を他科との連携強化で早期診断/治療につなげる

慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)について

髙須 清 医師

慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対し、バルーン肺動脈形成術(BPA)を高須清助教を中心に行っております。器質化血栓が葉動脈から区域枝近位部に存在する中枢型CTEPHに対しては外科的手術が第1選択かつ根治術とされてきましたが、外科的手術不適応例に対し、当院でもカテーテル治療(BPA)を行っております。バルーン肺動脈形成術(BPA)は、器質化血栓により狭小化した肺動脈を、わずかでも拡張すれば肺動脈圧の低下が期待できるという発想のもと、開発されました。局所麻酔下に頸部もしくは鼠径部(足のつけねの部分)にシースと呼ばれる管を挿入し血管確保します。

見逃されがちな肺高血圧症を他科との連携強化で早期診断/治療につなげる

その後、適切なサイズのバルーンで拡張し詰まっている肺血管を拡げて肺動脈圧、および動脈血酸素飽和度を改善させる治療法です。肺血流シンチグラムからも、血流の改善がBPA前と後では改善が確認できています。

BPA前

BPA後

肺高血圧症は血管障害と心不全研究の両方ができる疾患肺高血圧症における肺血管リモデリングや
新規バイオマーカーの研究が進む

肺高血圧症発症、進展メカニズムを考えると、肺高血圧症の病態はまさに循環器内科医が興味を持つ疾患とも言えます。肺血管リモデリングが生じ、肺血管抵抗が上昇、右心不全を来す疾患ですが、肺血管リモデリング制御を中心に上木裕介助教と共に研究を行っております。最近では、左心性心疾患に伴う肺高血圧症(2群)の肺リモデリングに対してSGLT2阻害剤の肺血管リモデリング抑制について検討しております。

また、肺高血圧症の有無を示す指標となる新規バイオマーカーの研究にも力を入れてきました。他大学の医師との共同研究により、動脈硬化で平滑筋細胞増殖に関与するとされていた物質が肺高血圧症でも関与することを証明することができ、治療によってマーカーが下がるというデータが得られています。

順天堂大学医学部附属順天堂医院

順天堂大学医学部附属順天堂医院は、特定機能病院の指定および先進医療・救急指定病院の指定を受けた総合病院です。 28の診療科と1,036床の病床を有し、1日平均899人の入院患者・平均3,515人の外来患者さんの診療を行っています。

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