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睡眠時無呼吸症候群(SAS)への治療介入により 循環器疾患改善を目指す

Doctor's interview

Takatoshi
Kasai

順天堂大学医学部
順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学准教授 睡眠・呼吸障害センター長

睡眠時無呼吸症候群(SAS)への治療介入により
循環器疾患改善を目指す

わが国では健康寿命の延伸を掲げている中で、生活習慣の是正、特に睡眠に対する意識がまだまだ低いことが問題視されている。そのような中、順天堂医院では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のある循環器疾患患者を中心に生活習慣の是正につながる診療を提供するため2017年8月に「医院睡眠・呼吸障害センター」を開設。
順天堂医院におけるSASの治療アプローチについて、同センター長である葛西医師にご説明いただいた。

治療に欠かせない様々な連携

心房細動、心不全におけるSASの合併頻度は非常に高く、 SASへの治療が心不全や心房細動の治療にもなる可能性が示されているため、同センターでは、自宅や入院で行える睡眠検査を積極的に行い、SASの標準的治療である持続気道陽圧(CPAP)療法やマウスピースによる治療を推奨しています。

入院で行う終夜睡眠ポリグラフ例

自宅で行う
簡易睡眠検査例

治療:持続気道陽圧
(CPAP)

また近年、SASに対する治療薬や新規治療デバイスも話題で、これらの治験や臨床研究を積極的に行っています。循環器疾患の治療と並行してSASの出現頻度を減らす治療が循環器疾患そのものにもメリットがあると期待されています。一方、SASは、循環器内科と呼吸器内科、耳鼻科、さらにクリニックや在宅医療などが連携することが欠かせません。

順天堂医院睡眠・呼吸障害センターでは呼吸器内科・耳鼻科に加え、神経筋疾患と関連する睡眠障害の診断治療などで脳神経内科ともタッグを組んで包括的な介入を行っております。

治療:マウスピース

遠隔モニタリングにより、SAS・心不全の在宅患者の状態変化を検出する

超高齢社会を迎えた日本では、首都圏を含むあらゆる地域で心不全の患者さんを在宅で診なければならない状況になってきました。心不全患者では昼夜を問わず呼吸に何らかの異常が見られる上、心不全の増悪時にはその異常が顕著になります。そこで、医療用・介護用ベッドメーカーとの共同研究により、睡眠中の患者の状態をモニターすることができるデバイスをもちいた「遠隔モニタリングシステム」の開発を行っております。患者の呼吸や心拍など複数の生体情報を遠隔送信し、心不全の増悪を早期に拾い上げるシステムです。

CPAPを使用中であればCPAP装置を介する遠隔モニタリングで状態変化を検出することが可能でしたが、そのようなデバイスを使用していない患者さんでも遠隔モニタリングが可能となるデバイスやシステムの研究開発に注力しています。在宅診療を行うクリニックやプライマリケアの先生方とのコラボレーションから、実際の診療にすぐにでも活かせるように準備を進め、地域連携・病院連携の推進につながる診療体制の構築をすすめています。

順天堂大学医学部附属順天堂医院

順天堂大学医学部附属順天堂医院は、特定機能病院の指定および先進医療・救急指定病院の指定を受けた総合病院です。 28の診療科と1,036床の病床を有し、1日平均899人の入院患者・平均3,515人の外来患者さんの診療を行っています。

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