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年間約15000件を超える臨床実績「遠隔医療×心リハ」の新たな挑戦

Doctor's interview

Yokoyama
Miho

順天堂大学医学部
循環器内科学講座 心臓リハビリテーショングループ

年間約15000件を超える臨床実績

「遠隔医療×心リハ」の新たな挑戦

以前より、循環器内科や心臓血管外科の対象患者に対して、積極的に心臓リハビリテーションを実施してきた順天堂医院。

多職種による密な連携、心肺運動負荷試験による適切な運動療法、さらに栄養指導、保健指導、フレイルに関しても新たな心臓リハビリテーションプログラムを開発。

循環器疾患の予防に包括的に取り組み、最近の実臨床における遠隔モニタリングシステムの開発に関する取り組みについて聞いた。

患者さんを本来の生活に戻し、
疾病の再発予防に取り組む

循環器診療が進化する一方で、医療現場では、心筋梗塞、狭心症、心不全、心臓弁膜症、大動脈瘤などの心血管疾患患者の高齢化、患者背景の複雑性が進んでいます。治療を受けた後に体力が低下したり、生活するための心身機能が低下したりしてしまうフレイルは、そのこと自体が患者さんの生命予後に関連しており、高齢化社会の課題となっています。特に高齢者の方に顕著であり、もともとは自立した生活ができていた患者さんが、治療を受けて病状は良くなったにもかかわらず、入院前より運動機能が低下したり、要介護度が手術前より悪化してしまうというのは回避したい問題です。高齢者では、入院中1日に1%の割合で筋量が低下していくといわれています。そのような背景から、我々心臓リハビリテーションチームは、入院した患者さんに、「患者さんを本来の生活に戻す」ため、急性期加療と併行して、心臓リハビリテーションを積極的に導入しています。そして「疾病の再発を予防する」ために、途切れることなく外来への心臓リハビリテーションプログラムに繋げています。

年間約15000件を超える臨床実績「遠隔医療×心リハ」の新たな挑戦

順天堂医院では、年間約15000件の心臓リハビリテーションを行っております。「リハビリテーション」というと、手足の機能回復を目的とした機能訓練やマッサージ、温熱療法などを思い浮かべる方もいらっしゃると思います。これに対し、心臓リハビリテーションでは、心筋梗塞、狭心症、心不全、心臓弁膜症、大動脈瘤などの「心血管疾患」を患った方を対象に、運動指導から服薬指導、栄養指導、禁煙指導など包括的なアプローチを実施します。まずは、急性期加療後に身の回りの動作を安心して行えるように運動機能の回復を促し、その後、様々な生命予後関連因子を改善するといわれている有酸素運動や筋力トレーニングに取り組んでいただきます。運動療法によるリハビリテーションはもちろんのこと、栄養や精神的なケアも含めた包括的心臓リハビリテーションが重要であるとされています。適切な運動療法と生活習慣の実践により、生活の質を改善し、動脈硬化の進行過程を安定化させて循環器疾患の再発や悪化を予防することで、健康寿命を延長させることができます。

年間約15000件を超える臨床実績「遠隔医療×心リハ」の新たな挑戦

エビデンズが豊富でありながら
その普及率は低い心臓リハビリテーション

医療保険の施設基準上の問題や心臓リハビリテーションの専門家が各病院に十分に配置されていないなどのマンパワーの問題、病院が遠方であり通院が困難など、退院後に適切な心臓リハビリテーションを受けられる患者さんは多くないのが現状です。今後もwithコロナ社会の中、状況の改善は難しいと考えています。この課題を解決するのが、遠隔医療と心臓リハビリテーションの融合です。
退院後、オンラインでの心臓リハビリテーションが受けられれば、心身機能の改善や、介護度悪化の予防につながるのではないかと考え、オンラインプログラムや、遠隔モニタリング機器の開発にも取り組んでいます。
糖尿病や慢性腎臓病を有する方や、入院前から、筋力の低下や歩行速度、体重の減少などを特徴とするいわゆる「フレイル(虚弱)」の状態にある患者さんは、術後に身体機能が十分に回復せず、要介護度が悪化しやすいため、フレイルにならないようにすること、フレイルをいかに克服するかということが大きな課題となります。
我々は、今までの豊富な臨床経験より、個別化した運動プログラムや栄養メニューなど、オーダメイドアプローチを実践しており、このような取り組みは、高齢化社会においてますます必要になると考えています。臨床で得たこうした知見を遠隔リハビリテーションプログラムにも反映させていくつもりです。

心臓リハビリテーション外来のご案内

都内では、心臓リハビリテーションを実施する医療機関は必ずしも多くはありません。そこで、多くの患者さんに、心臓リハビリテーションをご利用いただけるように、当科では、平成22年9月より『心臓リハビリテーション外来』も開設しております。年齢を問わず、日常生活や社会生活への復帰に不安をお持ちになる循環器疾患の患者さんの支援を致します。定期的な循環器疾患(心筋梗塞、狭心症、慢性心不全、心臓大血管術後、末梢血管疾患)のフォローとしても、お気軽にご相談下さい。主な検査結果は、CD-ROMに保存してお持ち帰りいただき、現主治医の先生方の治療と連携して実施させて頂いております。今後の治療にもご活用頂きたくどうぞよろしくお願い申し上げます。

心臓リハビリテーション外来は、水曜午前、土曜午前で行っております。現在、他院で治療中の患者さんは、主治医の診療情報提供書(紹介状)をご持参下さい。また、医療機関より当院の地域医療連携室にご連絡をいただき、外来予約を取っていただきますと、当日の診察がスムーズとなりますので、ご協力お願い致します。

年間約15000件を超える臨床実績「遠隔医療×心リハ」の新たな挑戦

順天堂大学医学部附属順天堂医院

順天堂大学医学部附属順天堂医院は、特定機能病院の指定および先進医療・救急指定病院の指定を受けた総合病院です。 28の診療科と1,036床の病床を有し、1日平均899人の入院患者・平均3,515人の外来患者さんの診療を行っています。

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