循環器内科と心臓血管外科の
密な連携を実現するハートセンター
順天堂医院の循環器内科は、 心臓血管外科チームとの連携を大切にしており、 定期的な内科外科合同カンファレンスの開催、緊急を要する症例についても密接な連携をとることで速やかに治療を行える体制を確立している。
2012年2月に狭心症を患う天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀したことでも知られている心臓血管外科の特任教授である天野氏と循環器内科教授である南野氏のスペシャル対談。
南野:まずこれからの心臓外科治療、大きくまとめると循環器診療についての意見を伺いたいと思います。
天野:これからの循環器診療はこれまで以上に、超高齢者医療が中心となり、 経カテーテル的治療や外科的治療が有機的に融合され良い治療が行われることが考えられると思います。 ある程度の治療に関するエビデンスが確立してきている時代で、安全性をもってエビデンスを重ねた合併症がない治療方針が組み立てられる必要があると思います。
例えば狭心症患者さんに、 冠動脈バイパス手術だけで患者さんが求める医療を全て充足できるのかと言われると答えはノーだと思います。 現在の患者さんにおいては、冠動脈疾患単独であることは少なく、70%の症例が弁膜症や他疾患を合併している事になります。 手術になる症例では、これまでは外科医だけが関わってきたわけですが、 現在内科医もstructure heart diseaseを治療できる手段がでてきました。 このおかげで、 今後は内科医が自ら治療方針を組み立て、外科医には手術をオーダーするという認識に変わってきているのかもしれません。
また、逆にこの時代においてエビデンスから外れた症例に対する認識も含めなければいけません。 例えば、 膠原病疾患や透析患者さんなどにおける、 個々の症例における経験をベースにした考え方や、 case reportなどを調べることも重要になってくると思います。 特に透析患者さんにおいてはそれぞれの患者さんがもっている人生観に寄り添って最適な医療を提供しなければいけないという認識ももっております。
南野:低侵襲治療に関してはどのように考えられますか。
天野:これからの時代は、 循環器内科のカテーテル治療はもちろんのこと、 外科医にしかできない小切開手術なども引き続き重要になると思います。 順天堂においては、さらに一歩進んだこれまでの低侵襲治療に一つ二つ工夫を加えた低侵襲治療を世間に発信していく事が使命であると考えています。
南野:今後の順天堂大学ハートセンターの強みはなんでしょうか?
天野:順天堂医院のハートセンターは施設認定に見合った医療が可能である事です。 我々は施設認定をもっているだけでなく、さらにその治療がクオリティ高く行われていることが重要であると考えております。 また、院内救急車なども完備しており関東圏、さらには他医療圏であっても患者さんを迎えに行きながら高度循環器医療を提供する事も可能であるという事です。 順天堂は敷居が高く思われがちですが、高度な医療を全ての循環器治療を要した患者さんへ提供する覚悟と意識がある事を知ってもらいたいです。
南野:先生が退官されてからの手術をされている事を知らない人もいるみたいです。
天野:当面、 学校法人順天堂の理事としての職位や、 特任教授という肩書は残るのですが、 これで心臓外科医としての私の医者人生が終わるということではありません。むしろ逆で、 主任教授として大学運営にかかわっていた時間などが減ることもあり、今後はよりいっそう診療と手術にあてる時間が増えるとさえ思っています。 今後も手術ができる限り、 現役の心臓外科医としてメスを持つことにこだわろうと思っています。
順天堂大学医学部附属順天堂医院
順天堂大学医学部附属順天堂医院は、特定機能病院の指定および先進医療・救急指定病院の指定を受けた総合病院です。 28の診療科と1,036床の病床を有し、1日平均899人の入院患者・平均3,515人の外来患者さんの診療を行っています。
所在地
東京都文京区本郷3丁目 1-3
病床数
1,036床(精神 15床、一般病床 1,051床)
URL
https://www.juntendo.ac.jp/hospital/