大学病院小児科と連携して365日24時間、
子どもの入院治療や専門診療を担う
大学病院小児科と連携して365日24時間、子どもの入院治療や専門診療を担う
武田総合病院小児科では、3名の小児科専門医がそれぞれの得意分野を生かして診療にあたっています。大学病院の小児科との密な連携により、年365日1日24時間体制で小児科専門医が診療するようにしています。小児循環器・小児神経・小児心療の分野をはじめとする専門外来があり、二次救急病院として地域医療を支えています。
小児科専門医3名が得意分野で協力し、二次救急病院として子どもと家族を守る
岸田医師:武田総合病院小児科は二次救急病院として、地域で開業されている先生方からご紹介いただいた患者さんの入院治療や専門的な診療に対応しています。日中はもちろん、休日や夜間など時間外でも一般的な血液尿検査は1時間もあれば結果はでますし、心電図や心エコー、腹部エコーなども当日予約なしで普通に行うなど、大病院にはないフットワークの軽さがあります。また必要があれば、CTはほぼいつでも、MRIも緊急性があれば至急依頼で大体当日可能ですので、重篤な急性疾患なども至急検査であまり困ったことがありません。私の専門とする小児循環器領域でのご紹介患者さんでも当日ほぼすべての心臓検査を行い診断、お返事をしております。小児神経や小児心身症も数十年の歴史がありますが、最近、神経性やせ症など栄養身体治療と、微妙な心のケアを必要とする児童も増えてきて、専門家とともに対応しております。
専門性を生かしたチーム医療と、かかりつけ医への円滑な橋渡し
緒方医師:当科は3名の小児科専門医が在籍し、それぞれの得意分野を生かして診療しています。岸田先生は循環器をご専門として長年、当科を率いてこられ、私たちもコンサルトをお願いする頼もしい存在です。私は、血液腫瘍を専門としてこれまで研鑽を重ねてきました。専門外来では小児循環器・小児神経・小児心療をはじめとする分野の診察をしています。小児神経の領域は、京都大学医学部附属病院小児科の先生が脳波や発達の検査を行い、てんかんや発達障害のお子さんを診ています。アレルギーに対しては、当院で食物経口負荷試験が可能です。しかし、リスクの大変高い症例は大学病院と連携し、時に紹介する事もあります。
甲原医師:治療については、ガイドラインや教科書的な医学的根拠をベースに、難しい症例についてはカンファレンスで話し合い、それぞれの患者さんによりよい診療を提供できるよう努めています。確定診断をして症状が安定するまで当院で診療させていただき、その後はかかりつけ医の先生にお願いしています。当科は京都大学医学部附属病院小児科と強い連携があり、重篤な疾患であっても当科での入院を希望される患者さんにつきましては、大学病院の専門医にご助言をいただきながら診療を継続することが可能です。また、大学病院に転院・紹介となった患者さんも、状態安定後はご自宅から近い当科に逆紹介いただいており、通院負担の軽減を図りつつ、状態悪化時の緊急対応も行っています。
小児循環器領域の経験を生かして、地域の先生と大病院をつなぐ
岸田医師:私は小児循環器領域を専門としています。ご開業されている先生方から、心雑音や不整脈、胸痛といった症状や川崎病の疑いがあるお子さんのご紹介をうけておりますが、心エコー図、トレッドミル負荷心電図、Holter心電図などの検査も、予約なしで当日施行、診療しております。予約なしの当日検査は大学病院などではなかなかできないことと聞いていますので、患者さんの利便性は高いと思います。最近、咳・呼吸困難・哺乳不良などの症状で夜間入院された赤ちゃんがおられましたが、急性心不全状態で至急検査施行、乳児特発性僧帽弁腱索断裂と診断、大学病院に転送、手術していただいた症例がありました。医学の発達により、重篤な先天性心疾患は出生前後に診断、治療されていますが、それ以降の年齢の心筋炎・心筋症(肥大型、拡張型、拘束型など)などはチアノーゼや心雑音がほとんどありません。これらの疾患でも当日検査で診断してきており、これは当院の強みだと思います。
診断がついた段階で、必要に応じて大学病院や国立循環器病研究センターといった高次専門機関に転送しております。このように、地域の先生方と大学病院など高度機能病院を切れ目なくつなぐのが私の役割と考えております。こういったことができるのも、近隣でご開業の先生方のおかげです。ひと昔前になりますが、肺炎で紹介入院の3歳児に、心音異常から拘束型心筋症と診断、心臓移植につながった症例もあり、うれしく思うと同時にまさに紹介していただいたおかげと思っています。
身体疾患の評価をしっかり行い多角的な視点で診療
甲原医師:私は小児科全般と小児心療内科を担当しています。当院は各種検査モダリティがそろっており、緊急の検査にも臨機応変に対応できる体制です。診療に際しては、身体疾患の評価を正確に行うことを大切にしています。発熱の反復、頚部腫脹といった身体疾患で受診された場合は、小児科の検査と並行して、他科対診もアレンジしています。一方、診療中に保護者の方から発育や発達、あるいは慢性の頭痛で学校をよく欠席するといった心配事を相談され、一緒に考えていく中で心療内科的なアプローチに移行する場合もあります。くわしい問診と各種検査で緊急性のある身体疾患がないと分かれば、心療内科枠で経過を追い、学校や所轄のこどもはぐくみ室のほか公的機関との連携といった対応も行っています。
地域の先生から、重症ではないけれど少し気になるとご紹介いただき、検査をして血液悪性腫瘍が判明したお子さんの例がありました。また、保護者の方の精神疾患の悪化と親子間の心理的摩擦を見逃さずご紹介いただき、親子分離入院(レスパイト)につながったケースがあります。他にも不登校や睡眠障害について、長期間の家庭状況や病状の推移を紹介状にまとめてくださった先生がいらっしゃいました。いずれも先生方のご配慮により、早期に身体、精神、社会面で多角的に介入でき、経過良好です。ご開業の先生方のご慧眼にいつも感嘆しております。日々の診療でご多忙な中、患者さんとご家族に真摯に向き合う熱意にいつも背筋が伸びる思いです。
小児血液腫瘍をはじめ、わずかな可能性を見逃さない診断を
緒方医師:私の専門は小児血液腫瘍です。当院は二次救急医療機関なので、熱が下がらない、あるいは喘息が治らないといった患者さんをご紹介いただきます。私は開業医の先生のちょっとした違和感を見逃さず、正確な診断につなげるように心がけています。血液腫瘍の約4割は白血病、約2割が脳腫瘍、約1割はリンパ腫が原因です。例えば、リンパ腫は胸部に生じやすく、喘息の治療でステロイドを投与してリンパ腫が一時的に縮み、またすぐ大きくなって咳が出て再度ステロイドを使っても治らないのでご紹介頂き、はじめてリンパ腫と分かるケースがありました。
血液腫瘍の症状は多彩で、原因不明の発熱や少し元気がないといった症状のほか、骨髄炎が起きて歩き方がおかしいというケースもありました。下痢を伴わない頭痛の0.1%ほどに脳腫瘍があるといわれており、常にわずかな可能性を考えています。血液腫瘍の診断がついた場合、私がいた京都大学医学部附属病院に治療を依頼しています。全国に15施設ある小児がん拠点病院のうちの一つで、臨床試験も行っており、治療の選択肢を広げる体制が整っています。
寄り添いながら医師としての筋を通す「鬼手仏心」が座右の銘
岸田医師:戦時中ラバウルで瀕死の重傷を負った兄を助けてもらった父は、子供たちに「医師の仕事は素晴らしい、お前たちも人から感謝されるような仕事を」と常々いっていました。大学卒業時は外科系志向だったのですが、義理の兄が小児科だった縁もあり小児科を選び、岡山の倉敷中央病院で一般小児科に加え新生児小児循環器の研修、その後は小児循環器を専門に選び、国立循環器病センター、小倉記念病院などを経て、現在に至っております。
座右の銘としてあえて挙げるなら「鬼手仏心」でしょうか。昔骨肉腫の末期患者を担当した時に思ったことです。人はどうしても易きに流され、患者さんの気持ちをそのまま受け入れたくなりますが、それでは患者さんにとって大きな不利益になる場合があります。子どもや保護者の気持ちに寄り添いながらも、医師としてどうしてもやらなければならない時など、自分への戒めとしてこの言葉を掲げています。
休日など気分転換に自転車で山科疏水を走ったり、鍛錬のために将軍塚に登ったりしています。また近くに住む孫の顔を見に行くのも楽しみです。
相談しやすい医師を目指して、笑顔で出迎える心配り
甲原医師:私の幼少期は、信頼できる情報が少ない中で、核家族の専業主婦が子育てに孤軍奮闘するような時代でした。子どもながら大変そうに見えたので、将来は母子の役に立つ仕事に就きたいと思い、小児科医になりました。現在は共働きの家庭が増え、仕事や育児を両親で行うようになりましたが、経済不安や時間的制約といった新たな問題もあります。子どもが幸せに暮らすためには、親の幸福感も大切です。小児科診療を通じて保護者の方の不安軽減に努め、何かあれば「あの先生に相談したらいい」と思えるような外来を維持したいと考えています。
とはいえ、疾患の見逃しを防ぐために普段の生活をくわしく伺う際、拒否感を持たれてしまう可能性がありますので、患者さんを出迎える際は笑顔で、できるだけ穏やかでのんきな話し方や説明の仕方を心掛けています。また診察室でご本人・ご家族の良い所、がんばっておられる所をみつけた時は必ず褒めるようにしています。
保護者の声に耳を傾け、子どもとご家族の負担を減らしたい
緒方医師:私は、子どもの未来に自分を捧げたいという思いで小児科を志しました。専門分野には、初期研修で担当した子どもを救えなかった悔しい経験から血液腫瘍を選びました。
私はお子さんやご家族の負担が少しでも少なくなるように心がけています。病気になっていいことは一つもありません。ご家族の生活が崩れないように、なるべく通院回数を減らし、入院期間を短くするように配慮しています。
治療に際しては、子どもの苦痛をできる限り減らすように努めています。例えば、採血はタオルで巻いて動けないようにする抑制が一般的ですが、私は子どもがお母さんの抱っこで安心できるようにして処置する方針です。子どもに安心感を与えることができれば自ら腕を出すようになります。エムラクリームといった表面麻酔は効果が出るのに1時間ほどかかりますが、採血や髄液検査などで積極的に使用するようにしています。
新しく水イボ、生活リズム改善プログラムの治療を提供
緒方医師:当科では最近、水イボ(伝染性軟属腫)の新しい治療を始めました。2026年に日本で初めて水イボに対する塗り薬「ワイキャンス(一般名:カンタリジン)」が承認されています。これまでのピンセットでつまむ治療は痛みがあり、子どもにとって負担でしたが、薬剤を塗った翌日に水脹れができ、剥がれて治ります。保険点数に対する薬価が高く収益性が低いため、薬剤を導入するハードルが高い治療法ですが、そういった治療こそ当院で担うべき治療と考えています。
今後は「生活リズム改善プログラム」にも力を入れたいと考えています。生活リズム改善プログラムは、朝起きられない、肥満が治らないといったお子さんが1、2週間の入院中に早寝早起きして運動し、健康的な食事をとり、スマホから離れて院内学級で勉強するといった内容です。リハビリや糖尿病内科が専門の医師から心理スタッフまで関わり、包括的に診療していければと考えています。最近、学校に行きたくてもいけない起立性低血圧症の不登校児や、肥満児の食生活の乱れを改善できる可能性があるので注目されています。ただし、本人と家族のやる気があることが最も大事です。
いつも的確にご紹介いただく地域の先生に感謝
岸田医師:地域の先生方には、いつも的確にご紹介いただき感謝しています。先生方が少しでも心配で、念のためにというご紹介も大歓迎です。大学病院とは違い、大体の検査は受診日当日にできます。診療や検査結果をもとに病態をはっきりさせて、患者さんやご家族、ご紹介いただいた先生に一刻も早く安心していただきたいと思います。
甲原医師:当院のスタッフは献身的で忍耐強く、難しい方が来られても目につきやすい問題点に振り回されず、目の前のお子さんに必要な対応を考え、暖かく支えてくれる度量の大きさがあります。病棟もリフォームして過ごしやすくなりましたので、紹介先の一つとしてご検討いただけますと幸いです。
緒方医師:先日も地域の先生から、ちょっとした違和感から、異常行動を疑って精査のご依頼をいただき、ADEMが見つかったお子さんがいました。治療開始が遅れやすい疾患ですが早期に治療開始することができました。地域の先生に気軽に送っていただき、任せて頂いたと責任を感じながらしっかり診察したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
医療法人 医仁会 武田総合病院
「地域医療支援病院」として、高度医療を核に、総合的な診療体制を確立。 地域の健康文化の発信基地として、人々のからだと心のケアを支える。
所在地
〒601-1495 京都市伏見区石田森南町28-1
病床数
490床
URL
https://www.takedahp.or.jp/ijinkai/