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診療科再編で、より分かりやすく、相談しやすい体制へ

Doctor's interview

HONMA
YOSHIKAWA

横浜市立大学附属病院

肝胆膵外科 部長・診療教授 消化管外科 部長・主任教授

診療科再編で、より分かりやすく、相談しやすい体制へ

消化管外科・肝胆膵外科が目指す、これからの地域連携

2026年、横浜市立大学附属病院では外科診療体制を再編し、「消化管外科」と「肝胆膵外科」が、それぞれの専門領域を担う新たな体制となりました。

消化管外科では食道・胃・小腸・大腸を中心に、肝胆膵外科では肝臓・胆道・膵臓を中心に診療を行っています。専門領域を明確にすることで、地域の先生方にとって紹介先が分かりやすく、患者さんが適切な専門診療につながりやすい体制を整えています。

消化器疾患には、診断が確定していないケースや、複数の領域にまたがって治療方針を検討する必要があるケースも少なくありません。当院では、消化管外科と肝胆膵外科に加え、消化器内科をはじめとする院内各診療科が連携し、患者さんの状態に応じた診療につなげています。

診療科再編により、紹介先をより分かりやすく

本間医師(肝胆膵外科): これまでは、大腸がんの患者さんに肝転移が見つかった場合など、疾患によって担当する診療科が変わることがありました。外来担当も曜日によって分かれていたため、ご紹介いただいた先生の意図とは異なる診療科や医師が担当するケースもありました。

今回の再編によって、それぞれの専門領域が明確になり、消化管外科と肝胆膵外科が互いの専門性を生かして連携できる体制となりました。

診療領域が重なる疾患についても、院内で相談しながら適切な診療につなげています。どちらの診療科へ紹介すべきか判断に迷われる場合にも、まずはご相談いただければと思います。

吉川医師(消化管外科): これまでは曜日によって外来を担当する診療科が異なる体制だったため、地域の先生方から見たときに、「どこに紹介すればよいのか」が分かりにくい部分があったと思います。

特定の医師への紹介を希望されていても、受診する曜日によって別の医師が担当するケースもありました。

再編後は、消化管外科として外来診療を行う体制となり、消化管疾患について曜日を意識することなくご紹介いただけるようになりました。

食道・胃・小腸・大腸などの消化管疾患は消化管外科、肝臓・胆道・膵臓の疾患は肝胆膵外科と、地域の先生方にとっても、より分かりやすい診療体制になったと考えています。

診療科再編で、より分かりやすく、相談しやすい体制へ

ロボット手術の豊富な経験を生かし、より負担の少ない治療へ

吉川医師: 消化管外科では、ロボット支援下手術(ダ・ヴィンチ手術)に積極的に取り組んでいます。当院では複数の手術支援ロボットを導入しており、患者さんの病状や手術内容に応じて活用しています。

なかでも「ダ・ヴィンチSP」は、1本のアームから複数の手術器具を展開して手術を行うことができ、切開箇所が少ないことが特徴です。患者さんの身体への負担軽減に加えて、傷が目立ちにくいという整容性の面でもメリットが期待されます。

私は前任地でもダ・ヴィンチSPを用いた手術に数多く携わってきました。従来のダ・ヴィンチに習熟した医師がSPを使用する際の習熟についても研究するなど、臨床と研究の両面からロボット手術に取り組んできました。

こうした経験を当院でも生かし、安全性を第一に、ロボット手術の可能性をさらに広げていきたいと考えています。

診療科再編で、より分かりやすく、相談しやすい体制へ

がん手術で培った技術を、良性疾患にも

吉川医師:ダ・ヴィンチSPの活用は、消化管がんの手術にとどまりません。現在、私たちが力を入れているのが、胆石症や胃粘膜下腫瘍(GIST)などへの応用です。

特に胆石症では、治療の安全性や確実性に加えて、術後の傷を気にされる患者さんもいらっしゃいます。ダ・ヴィンチSPの特徴を生かすことで、切開箇所を少なくし、整容性にも配慮した手術につなげられる可能性があります。

現在、胆石症に対するダ・ヴィンチSPを用いた手術は保険適用の対象となっていないため、肝胆膵外科と共同で自費診療として提供するための準備を進めており、10月より開始できる見込みです。

消化管外科が培ってきたロボット手術の経験と、肝胆膵外科の専門性を組み合わせることで、がん治療に加えて良性疾患についても、新たな治療の選択肢を提供していきたいと考えています。

治療で最も大切なのは、安全に適切な手術を行うことです。そのうえで、患者さんの身体への負担や術後の生活、整容性にも目を向け、一人ひとりに適した治療を提供していきたいと思います。

診療科再編で、より分かりやすく、相談しやすい体制へ

併存疾患のある患者さんにも、大学病院の総合力を生かした治療を

吉川医師

私はこれまで、がん診療を専門とするハイボリュームセンターで多くの患者さんの治療に携わってきました。その経験を通じて、がん治療を専門的に追求する医療機関と、さまざまな診療科を備える大学病院には、それぞれ異なる役割があると感じています。

高齢化が進み、がんだけでなく、心疾患や腎疾患など複数の疾患を抱えている患者さんも増えています。

当院では、透析を受けている方や心疾患の治療を受けている方など、手術に際して慎重な全身管理が必要な患者さんについても、院内各診療科の専門医と相談しながら治療方針を検討することができます。

本間医師
がんだけを見るのではなく、患者さんの全身状態や併存疾患まで含めて「この患者さんにどのような治療ができるのか」を考えられることは、大学病院の大きな強みだと思います。

消化管外科では、手術に加えて化学療法にも取り組んでいます。難しい症例については腫瘍内科などとも連携し、患者さんの状態に応じた治療を行っています。

消化器内科との連携も密に行っていますので、診断が確定していない段階でも、必要な検査や診療科につなぎながら治療方針を検討できます。

治療方針の判断が難しい患者さんについても、院内のさまざまな専門家とともに治療の可能性を検討できることが、当院の強みだと考えています。

診療科再編で、より分かりやすく、相談しやすい体制へ

専門領域を明確にし、それぞれの強みを生かした連携を

吉川医師:消化器疾患では、一つの診療科だけで治療が完結するとは限りません。

胆石症やヘルニアなど、消化管外科と肝胆膵外科の専門性が重なる領域では、患者さんの状態や手術の難易度に応じて協力して診療を行っています。

大腸がんなどの消化管がんから肝転移が生じた場合には、消化管外科と肝胆膵外科がカンファレンスを行い、それぞれの専門的な視点から治療方針を検討します。

今回の再編によって専門領域が明確になったことで、それぞれが持つ専門性を生かした連携も進めやすくなりました。

地域の先生方に「どちらの診療科に紹介すべきか」を厳密に判断していただく必要はありません。ご紹介いただいた後は、院内で必要な診療科が連携し、患者さんに適した診療につなげていきます。

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高難度の肝胆膵手術を担う、専門性の高い外科チーム

本間医師: 肝胆膵領域には、肝門部胆管がんをはじめ、高度な技術と周術期管理を必要とする疾患があります。

当科では、こうした高難度手術にも積極的に取り組んでいます。

私自身、これまで肝胆膵外科の高難度手術に加えて、内視鏡外科、ロボット手術の経験を重ねてきました。内視鏡外科技術認定と肝胆膵外科高度技能指導医の資格を有し、ロボット手術にも携わってきたことは、自身の専門性の一つだと考えています。

肝胆膵領域では、病変の位置や進行度、患者さんの全身状態によって適切な治療方法が異なります。開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット手術など、それぞれの特徴を踏まえ、患者さんに適した方法を検討することが重要です。

当科では年間100件を超える肝胆膵高難度手術を行い、3~4名の医師で分担しながら、特定の術者だけに依存しない診療体制を整えています。

高齢の患者さんや、心疾患などの持病があり継続的な治療が必要な患者さんをご紹介いただくこともあります。そのような場合にも、患者さんの全身状態を十分に評価し、院内の各診療科と連携しながら、安全に手術を行えるか、どの治療方法が適しているかを検討します。

高難度手術を担う外科医の専門性に加えて、さまざまな領域の専門家が集まる大学病院の総合力を生かし、患者さん一人ひとりに適した治療方針を考えられることが、当院の肝胆膵診療の強みです。

診療科再編で、より分かりやすく、相談しやすい体制へ

手術だけでなく、診断から術後までを見据えた治療を

本間医師: 肝胆膵領域では、診断がついてからすぐに手術ができるとは限りません。

患者さんの状態によっては、手術までに胆管ステントなどによる術前管理が必要になることがあります。術後についても、胆管の管理や出血などに注意しながら、継続的に全身状態をみていく必要があります。

そのため当科では、手術だけを切り離して考えるのではなく、診断後の治療計画から術前管理、手術、術後管理、その後の薬物療法まで、一連の流れを見据えて診療しています。

当初は手術が難しいと判断された患者さんでも、薬物療法によって腫瘍が縮小することで、あらためて手術を検討できるケースがあります。いわゆるコンバージョン手術についても、薬物療法を担当する医師と情報を共有し、治療経過を十分に確認したうえで、患者さんにとって適切な手術のタイミングを見極めています。

肝胆膵領域では、手術そのものの技術に加えて、手術に至るまでの準備や術後の管理を含めたトータルマネジメントが非常に重要です。

消化器内科をはじめとする各診療科と連携しながら、診断から治療、その後の経過まで患者さんを支えていくことを大切にしています。

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高度な医療を次世代へつなぐ、人材育成にも注力

本間医師:高度な医療を継続して提供するためには、現在の治療体制を充実させることに加え、医療技術を次の世代へつないでいくことも欠かせません。 特定の医師だけに依存する診療体制では、その医師がいなくなったときに、同じ水準の医療を継続して提供することが難しくなります。

若い医師が経験を積み、技術を受け継ぎ、それをさらに次の世代へ伝えていく。その積み重ねが、診療科としての力につながると考えています。

肝胆膵外科では、高難度手術には高度な技術と経験を持つ医師が参加し、若手医師とともに手術を行うことで、安全性に配慮しながら技術を継承できる体制づくりを進めています。

消化管外科と肝胆膵外科が日頃からコミュニケーションを取りやすい環境をつくることも大切です。患者さんについて気軽に相談できる関係が、診療科を越えた連携にもつながります。

吉川医師: 横浜市立大学附属病院には、難しい症例についても治療の可能性を検討しようとする文化があると感じています。

実際に当院で診療に携わり、各診療科の高い専門性に加えて、必要なときに診療科を越えて協力できることも、この病院の強みだと改めて感じています。

専門性の高い医師を育て、その専門性を個人のものにせず、組織として次の世代へつないでいくことも大学病院の重要な役割だと思います。

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膵臓がんの早期発見にも、地域との連携で取り組む

本間医師: 膵臓がんは、早期の段階では特徴的な症状が現れにくく、早期発見が難しい疾患です。そのため、地域の先生方が日常診療の中で感じる小さな変化が、診断につながることがあります。

例えば、糖尿病が急に悪化した場合や、画像検査で膵管にわずかな変化がみられた場合などです。こうした所見をきっかけに専門的な検査を行うことで、小さな腫瘍の発見につながることがあります。

当院では、病診連携によって膵臓がんの早期発見を目指す取り組みを進めています。

地域の先生方だからこそ気づける患者さんの変化と、大学病院で行う専門的な検査をつなぐことで、より早い段階での診断につなげていきたいと考えています。

「まだ診断はついていないけれど、少し気になる」という段階でも、ぜひご相談いただければと思います。

診断が確定していない段階でも、まずはご相談ください

消化管外科・肝胆膵外科から地域の先生方へ

今回の診療科再編によって、食道・胃・小腸・大腸などの消化管疾患は「消化管外科」、肝臓・胆道・膵臓の疾患は「肝胆膵外科」と、地域の先生方から見ても分かりやすい診療体制となりました。

実際の診療では、最初から診断が確定している患者さんばかりではありません。

「消化器疾患が疑われるものの、どの診療科へ紹介すればよいか判断が難しい」「画像検査で気になる所見がある」「治療方針について専門医の意見を聞きたい」「併存疾患があり、治療方法の判断に迷っている」といった段階でも、ご相談いただければと思います。

専門的な治療が必要な期間は当院で診療を行い、患者さんの状態が安定した後は、地域の先生方に日常の診療をお願いしていきたいと考えています。

遠方から通院される患者さんにとって、大学病院への通院そのものが大きな負担になることもあります。患者さんが住み慣れた地域で安心して診療を受けられるよう、地域の先生方と役割を分担しながら支えていくことが大切です。

専門的な検査や治療が必要になったときには、再び当院で診療を行う。そのように地域の医療機関と大学病院が継続して連携し、患者さんをともに支える関係を築いていきたいと考えています。

診断が確定していない患者さん、治療方針に迷われる患者さん、高度な専門的治療が必要と考えられる患者さんについても、まずはご相談ください。

消化管外科・肝胆膵外科がそれぞれの専門性を生かし、院内の各診療科とも連携しながら、地域の先生方とともに患者さんを支えてまいります。

診療科再編で、より分かりやすく、相談しやすい体制へ

横浜市立大学附属病院

『市民が心から頼れる病院』の理念のもと、『高度かつ安全な医療』の提供とともに、 神奈川県にある唯一の公的医育機関附属病院として、『質の高い医療人を養成』することを使命に診療。

  • 所在地

    神奈川県横浜市金沢区福浦3丁目9

  • 病床数

    671床 (一般:612床、精神:23床、結核:16床、臨床試験専用病床:20床)

  • URL

    https://www.yokohama-cu.ac.jp/fukuhp/

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