東京都アレルギー疾患医療専門病院として、高度なアレルギー診療を提供
アレルギーセンターでは、各科の専門性を生かして質の高いアレルギー診療を提供しています。東京都アレルギー疾患医療専門病院として、大学病院の強みを生かした高度な治療を提供したいという皮膚科の伊藤友章教授と呼吸器内科の河野雄太准教授を中心に、お話を伺いました。
大久保ゆかり センター長 コメント
令和6(2024)年4月1日にアレルギーセンターを開設いたしました。開設と同時に、小児科・思春期科と皮膚科が「東京都アレルギー疾患医療専門病院」として指定されました。
アレルギー疾患は、単一疾患ではなく、複数の疾患が併存していることが多い全身疾患であり、他科と連携をとりながら1つの病院で原因検索・診断・治療・食事や生活指導を行います。患者さんによっては複数の診療科が関わる場合があるため、ストレスなく治療に専念できます。特に専門施設での対応が必要な重症アレルギー疾患に対しては近年、新規治療薬の発展がめざましく、分子標的治療薬導入を積極的におこなっております。各科には、アレルギー疾患に特化したアレルギー疾患療養指導士(CAI)として、薬剤師、看護師、管理栄養士を配置しています。アレルギー疾患の治療には多職種スタッフとの連携が有効です。ぜひ安心してご相談ください。 さらに地域医療への貢献を進めるため、市民公開講座や病診連携・新宿区医師会との勉強会を行っています。当センターによって、アレルギー疾患に苦しんでいる多くの患者さんが日常生活を取り戻し、QOLが改善することを願っております。
皮膚科 伊藤 友章 教授 コメント
皮膚科では、ガイドラインをはじめ医学的な根拠に基づいてアレルギー性皮膚疾患の治療を行っています。診察している疾患で多いのは、アトピー性皮膚炎、じんましん、食物アレルギーです。アトピー性皮膚炎に対しては、診断に基づいた的確な治療の選択が大切です。近年、アトピー性皮膚炎の治療が進歩して、難治性の場合は原因となるサイトカインをピンポイントで阻害する生物学的製剤も使われています。じんましんは診断や治療の難しい場合があり、患者さんと情報を共有しながら治療をマネジメントしています。最近、成人の食物アレルギーの方が増えてきました。一番多いのは小麦依存性運動誘発アナフィラキシーで、部活前にパンを食べて運動した高校生が搬送されてくるといったケースです。アニサキスアレルギーのある方が、飲酒後にアナフィラキシーショックを起こして搬送されるケースもよくあります。
皮膚科で珍しい疾患としては、皮膚肥満細胞症を専門的に診ています。皮膚肥満細胞症はヒスタミンを放出するマスト細胞が異常増殖する疾患で、皮膚に斑点を生じ、アナフィラキシー反応が起きる場合があります。私は留学先の研究室で皮膚肥満細胞症の病態を学びました。日本で対応している施設が少なく、ご紹介いただいた方は丁寧に診察しています。
東京医科大学病院は、東京都アレルギー疾患医療専門病院に指定されました。当院は以前から皮膚科だけではなく、小児科や耳鼻科といった多くの診療科でアレルギーに取り組んできました。アレルギーセンターでは、大学病院として他の診療科の専門的な情報を生かして診療しています。また、当院には看護師や薬剤師、管理栄養士といった豊富な人材がそろっています。アレルギー疾患療養指導士の資格を持つスタッフをはじめ、多職種のチーム医療でアレルギーの患者さんを治療する体制です。
地域の先生方におかれましては、アレルギーに対するファーストラインの治療で効果が出にくい際、お気軽にご相談いただけますと幸いです。皮膚テストやパッチテストのご依頼も可能です。ご紹介いただいた患者さんについては、紹介元の先生にフィードバックしています。ご質問がある際は、医療連携室にお問い合わせください。
呼吸器内科 河野 雄太 准教授 コメント
呼吸器内科では、喘息を中心としたアレルギー性呼吸器疾患を治療しています。呼吸困難を訴える患者さんが多く、鑑別診断が重要です。特に喘息は多様性に富んだ疾患で、治療の際は病状を細かく紐解く必要があります。適切な治療を行うためには専門的な検査が不可欠で、幅広い診断デバイスを取り揃えています。例えば、呼吸機能検査(スパイロメトリー)やモストグラフのほか、呼気NO検査を標準的に行う体制です。さらに、特殊な喘息を見逃さないように、血液検査やHRCT(高分解能CT:High-Resolution CT)を行い、的確な診断を心がけています。
喘息患者さんはとても多いですが、その中でも多様な喘息患者さんがいることを目の当たりにし、喘息をはじめとするアレルギー性疾患に関心を持つようになりました。喘息は多くの場合、吸入薬でコントロールできますが、当科では通常の治療で改善しない患者さんに対して、喘息を重症化させる要因の評価をしています。近年、重症喘息の患者さんに対して、生物学的製剤が使われるようになりましたが、すべての患者さんに効くわけではなく、患者さんの状態を多面的に評価し、効果がある方を見極めも大切です。
喘息はCOPD(慢性閉塞性肺疾患:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)をはじめ、さまざまな疾患と合併するケースが多いのが特徴です。例えば、皮膚科領域のじんましんやアトピー性皮膚炎、耳鼻科領域であるアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎との併発がみられます。私たちは、アレルギーセンターの強みを生かして他科の医師と意思疎通を図り、総合的に治療を行っています。
地域の先生方には、喘息が治らない患者さんを気兼ねなくご紹介いただきたいと思います。大学病院として、先進的な知見を踏まえて専門的な治療を提供いたします。状態が安定すれば地域の先生にお戻しして、また悪化した場合は当院で治療を調整させていただく方針です。
消化器内科 福澤 誠克 准教授 コメント
当院は東京都アレルギー疾患医療専門病院の指定を受け、消化器内科としても消化管アレルギー疾患の診療に注力しています。
特に好酸球性食道炎や好酸球性胃腸炎においては、内視鏡所見と組織学的評価を組み合わせた精度の高い診断と、
ステロイド治療や食事療法を含めた個別化治療を行っています。嚥下困難や原因不明の消化器症状を認める症例では、ぜひ当科へご紹介ください。
小児科・思春期科 赤松 信子 助教 コメント
食物アレルギーの診断・治療には「食物経口負荷試験(OFC)」が不可欠であり、適切な指導を行うことが寛解にむけて重要です。多様化する食物アレルギーに対し診断・治療に苦慮するケースや、OFCをはじめ自医療機関でOFC実施に不安があるケースに対し当院でOFCを実施し今後の対応方法の指導をいたします。また気管支喘息の診断・治療や難渋するアトピー性皮膚炎治療などもご相談ください。児も含めた家族のQOL向上に直結するため、かかりつけ医である貴院とともに寛解へ向け一緒に携わっていくことが重要となります。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科 丸山 諒 医師 コメント
当科では、鼻副鼻腔炎およびアレルギー性鼻炎に対し、病態に応じた段階的治療を基本としています。まずは薬物療法を中心とした保存的加療を行い、その反応性を評価したうえで治療方針を決定します。
慢性鼻副鼻腔炎においては、内服薬やステロイド点鼻、必要に応じた全身ステロイド投与を行い、改善が乏しい症例や鼻茸を伴う症例、嗅覚障害を伴う症例に対しては内視鏡下鼻副鼻腔手術を検討します。特に好酸球性鼻副鼻腔炎が疑われる症例では、術後再発を前提とした長期管理が重要であり、周術期から術後にかけて局所・全身ステロイド療法を適切に組み合わせ、炎症制御を図っています。
アレルギー性鼻炎に対しては、重症度および病型に応じて第2世代抗ヒスタミン薬、鼻噴霧用ステロイド薬を中心に、ロイコトリエン受容体拮抗薬などを組み合わせた薬物療法を行います。これらの保存的治療で十分な効果が得られない場合や、鼻閉が強く日常生活への支障が大きい症例に対しては、外科的治療を検討します。具体的には、下鼻甲介手術や鼻中隔手術、後鼻神経切断術などを適応に応じて選択し、症状の改善と薬物依存の軽減を目指します。
当科では、単に手術適応を判断するのではなく、術前後の薬物療法を含めた包括的な治療戦略を重視しています。慢性鼻副鼻腔炎とアレルギー性鼻炎はしばしば併存するため、それぞれの病態を適切に評価し、個々の患者に最適なタイミングで内科的・外科的治療を組み合わせることにより、長期的な症状コントロールを目指しています。
眼科 山本 香織 医師 コメント
アトピー性皮膚炎の眼合併症は、眼瞼炎、角結膜炎、白内障、水晶体偏位、眼内レンズ偏位、網膜剥離など多岐にわたります。以前から皮膚科と共同研究をし、多数のアトピー性皮膚炎の眼合併症の診断、治療(点眼、白内障手術、眼内レンズ強膜内固定術、硝子体手術、緑内障手術)をおこなっております。
アトピー性皮膚炎に対する抗体製剤などによる眼科関連合併症(結膜炎など)の診断、治療(点眼)も多数おこなっております。
眼科で治療することにより、アトピー性皮膚炎の眼合併症や抗体製剤などによる眼科関連合併症を管理できる可能性があります。是非ご相談ください
東京医科大学病院
東京医科大学病院は新宿副都心に位置する「特定機能病院」であり、都区西部「地域がん診療連携拠点病院」に指定されています。
所在地
東京都新宿区西新宿6-7-1
病床数
904床(一般病床 885床、精神 19床)
URL
https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/