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神経系の多彩な症状をスピーディーに診断し患者の生活の質を高める

Doctor's interview

HIROAKI
MATSUMOTO

吉田病院 附属脳血管研究所
脊髄外科部長

神経系の多彩な症状を スピーディーに診断し 患者の生活の質を高める

2021年4月、吉田病院では脊椎・脊髄外科、三叉神経痛、顔面痙攣専門外来を新設しました。
いずれも症状が多彩であるため「年のせい」で済ませる患者様が多く、受診しようにも何科にかかればいいか分からないという方も見られます。
地域医療機関の先生方にとっても診断に迷うことがあるのではないでしょうか。
当科ではこれら神経系の病気の検査から診断、治療を迅速に進め、必要に応じて手術やリハビリテーションに至るまでしっかりフォローしています。

脊髄外科の専門性を生かし、「年のせい」で終わらせない診療を目指す

私たちは脊椎・脊髄の病気や三叉神経痛、顔面痙攣を主に診療していますが、その中で最も多いのが脊椎・脊髄の病気です。しかし、手のしびれなどの症状が少し出たくらいでは、「年のせいだろう」と考える人がほとんどではないでしょうか。
受診するとしても、日本では昔から首や肩、腰の症状は整形外科で診るべきというイメージが根強く、整形外科にかかる方が目立ちます。
しかし、世界的に見るとこれらの病気は脳外科で診療することが多いのが現状です。

神戸市は150万の人口を抱える都市でありながら、脊椎・脊髄の病気を専門的に診療する医療機関は限られています。日本脊髄外科学会が認定する指導医資格を持つ医師は全国に150人超いますが、神戸市内では私を含め3人しかいません。
脊椎・脊髄の病気で他科を受診しても手遅れになることは少ないと思いますが、当院では脳神経疾患の診療を専門としており、神経系を詳しく調べピンポイントで診断することができます。
ボタンをとめるような細かい作業がしづらい、歩行時にわずかな段差でつまずくなどの傾向が顕著になってきたら脊椎・脊髄疾患の可能性があります。「年のせい」で済ませる前に、一度こちらにご紹介いただくことをお勧めします。

患者を待たせない、スピーディーな診断・治療を心がける

受診から検査、診断までのスピード感も当科の強みです。通常、多くの医療機関ではレントゲン検査をすぐに行うことはできても、神経の状態を見るMRI検査は予約制で先延ばしになることも少なくありません。
当科では初診当日にMRI検査まで行い、その日のうちに診断をつけて治療方針を決めることも可能です。画像だけでなく、手足の動きなども細かくチェックして診断に結びつけるので、患者様の安心感も大きいことと思います。
状態やご希望によっては手術を行うこともありますが、当院はリハビリテーションが充実しているので術後も一貫してお任せいただけます。

薬物療法を行う場合はなるべく1~2週おきに受診していただき、症状がどの程度改善してきたか、副作用は出ていないかなど、こまめに様子を見ていきます。

神経系の多彩な症状をスピーディーに診断し患者の生活の質を高める

三叉神経痛は手術を視野に入れた幅広い治療を展開

この外来の開設以来、歯科や耳鼻咽喉科から三叉神経痛が疑われる患者様の紹介が増えてきました。
歯や鼻周辺に痛みがあっても神経系の病気だとは考えにくく、皆さん歯科や耳鼻咽喉科を受診なさるのでしょう。そこで検査をしても歯や鼻に異常がないとき、三叉神経痛かもしれないということで当科を受診されるわけです。

三叉神経痛の特徴はピリピリと電気が走るような電撃痛ですが、症状が多彩であるゆえ、地域医療機関ではすぐに診断に結びつかないこともあるかもしれません。
漫然とした痛みではなく、歯を磨く、顔を洗う、食事をするなど何らかの刺激が加わったときに症状が出ればなおのこと、三叉神経痛の可能性が高いとお考えください。

三叉神経痛は程度もさまざまで、少しピリピリするくらいの軽症の場合もあれば、食事もとれないほど重症となることもあります。そうなると患者様は非常につらく、早期に手術を行わなければ生活の質が落ちかねません。
医療機関によっては手術まで時間を要することもあるかと思いますが、当院では数日以内、極端な例でいうと翌日の手術も可能なくらい、スピーディーに対応します。
逆に、何度もお会いしてお話をじっくり伺った上で手術を行うこともあり、患者様自身のご希望を大切にして治療方針を決めています。

近隣の眼科医と連携し、顔面痙攣の悩みを改善する

顔面痙攣に関しては、目の辺りがピクピクして眼科にかかり、そこから紹介される患者様が圧倒的多数です。ただし、中には顔面痙攣だとはっきり診断されず、根本的な原因が曖昧なまま、とりあえず症状を緩和するためにボトックス療法を受けている方も見られます。
手術と違い、ボトックス療法は簡便で効果も高いので繰り返し行われることが多く、当院でも顔面痙攣に対してはボトックス療法をよく行っています。

軽症のうちはボトックス療法でもいいのですが、顔面痙攣が悪化すると、意図していないのに目がギューッと閉じたり、口周辺までピクつくようになったりします。
しかし、眼科では目以外の症状まで対応しないことが多く、お困りの方もいらっしゃるようです。
ボトックス療法を2~3カ月おきに繰り返すなど、重症になってくると「もう注射は嫌だ」と思われることもあるでしょう。そのような場合は手術をお勧めすることもあります。

患者の生活の質を高め、人生をハッピーにするお手伝いをしたい

当院は、脳卒中をはじめ、生死を左右するような病気に力を入れているのが大きな特徴です。
それに対し、脊椎・脊髄疾患や三叉神経痛、顔面痙攣などはすぐに死に直結するわけではありません。
その意味では、当科は患者様の命を救うというより、機能を高めて人生をハッピーにするような性質の外来だと言えます。「痛みが消えました」「よく歩けるようになりました」という患者様の声を聞き、症状が改善した喜びを共有できるのは私たちにとっても非常に嬉しいことです。

しかし、当科で診療する疾患は、悪化すると日常生活に大きな支障が出る病気でもあります。手足のしびれや、顔面や口腔内がピリピリ・ピクピクする痛みなど、気になる症状があるときは当院に専門外来があることを思い出してもらえたらと思っています。

余談ですが、私たちは常に上から目線にならないよう配慮し、関西人のノリで明るく患者様に接することを大切にしています。相談しやすい雰囲気を心がけていますので、患者様はもちろん地域の先生方も、気になることがあれば何でもお気軽にお知らせください。

脊椎・脊髄外科、三叉神経痛、
顔⾯痙攣専⾨外来ページはこちら

吉田病院 附属脳血管研究所

神戸市兵庫区の吉田病院は脳卒中の急性期・リハビリテーション・再発予防まで切れ目のない医療体制を提供しています。 専門医による救急対応を24時間受け付けており、在宅復帰を目指したリハビリテーションや脳卒中の早期発見や再発防止まで支援しています。

  • 所在地

    兵庫県神戸市兵庫区大開通9丁目2-6

  • 病床数

    139床(脳卒中ケアユニット12床、7対1一般病棟71床、回復期リハビリテーション病棟56床)

  • URL

    https://www.yoshida-hp.or.jp/

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