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心臓血管外科×イノベーション 田端実の新たな挑戦

Doctor's interview

Tabata
Minoru

順天堂大学
心臓血管外科 主任教授 虎の門病院 循環器センター外科 特任部長

2019年より虎の門病院循環器センター特任部長として活躍ののち、2021年12月に順天堂大学 心臓血管外科主任教授に就任。

心臓血管外科×イノベーション 田端実の新たな挑戦

2021年12月、順天堂大学 心臓血管外科は新たな教授として田端 実氏を迎えた。田端氏は、 MICS、TAVI、MitraClip、開胸手術、すべてを行うハイブリット外科医として活躍し、46歳にして約4000件の圧倒的な手術実績を有する心臓外科医。先代主任教授の天野 篤氏は平成をリードした心臓外科医であり、田端氏は令和という新しい時代をリードする心臓外科医と言える。順天堂ハートチームへの田端の参画によって、循環器内科と心臓血管外科の連携と協働がよりダイナミックに進化していくことは間違いない。順天堂医院ハートセンターの新たな門出、そして更なる発展が期待される。

心臓血管外科領域でイノベーションを起こす

私がライフワークとして取り組んでいる低侵襲心臓手術(MICS)は患者さんにとって早期退院や早期社会復帰などのメリットをもたらしますが、同時に外科医にとっても内視鏡を使うことで心臓が良く見えてより質の高い手術ができることや首が疲れないなどのメリットがあり、病院にとっても病床回転率向上や収入増につながります。また、社会にとっても入院日数が減ることで医療費低減、術後の早期職場復帰によって生産性の向上などのメリットがあります。心臓血管外科というと患者さんのために医療者の自己犠牲は当然といった文化がありましたが、それでは持続させるのが困難であり患者さんに加えて医療者はもちろん医療機関、社会の4者にとって利益となる医療を提供していくことが重要です。その一環として、MICSを含めた低侵襲心臓治療を中心に新しい術式の開発や医工連携による新規デバイスの開発に注力しており、日本から最先端技術を創り出すことは社会にとっても大きな利益になると考えています。さらには周術期管理や医療現場の診療体制においても従来の考えにとらわれず、テクノロジーを駆使して効率性と安全性を高めていきたいです。心臓血管外科領域でイノベーションを創出して社会の発展に貢献することを当科のミッションとしています。

心臓血管外科×イノベーション 田端実の新たな挑戦

治療のフルオプションとチームアプローチで最適な治療を提供する

私は成人心臓血管手術全般を行っていますが、心臓弁膜症の治療を最も得意としています。心臓弁膜症の治療としては、従来の開胸手術だけでなく内視鏡下手術であるMICS、さらにはTAVIやMitraClipなどのカテーテル治療も行っています。治療のフルオプションを持つことで、それぞれの治療について詳しくなることはもちろん、互いの治療から学ぶことでそれぞれの治療の質を向上することができます。また、治療のフルオプションを持つ最大のメリットは、バイアスなく治療選択ができることです。外科手術しか行っていない外科医はどうしても手術をやりたがりますし、カテーテル治療しか行っていない内科医はカテーテル治療をやりたがります。
治療方法には薬物治療や緩和治療もありますし、手術やカテーテル治療も一人ではできません。様々な専門性と高い技量を持った個人がチームとしてまとまってはじめて、個々の患者さんに最適な治療を提供することができます。切ってなんぼ、あるいは神の手という古い心臓血管外科医像を捨て、洗練された外科技術と広い視野を持ちチームをリードできる心臓血管外科医として患者さんと地域の信頼を得ていきたいです。

教育機関として多様な人材を育成する

人材育成においては、多様性、国際性、次世代リーダーの育成を軸に進めていきます。先に述べたように心臓血管外科医はこうあるべきだという昔からの考えがまだあって、それがかえって心臓血管外科医の可能性を狭めていると考えており、常識の枠を超えた多様な心臓血管外科医を輩出したいと思っています。ある分野に特化したエキスパートもいれば、他科や他業界とのコラボレーションで新領域を切り拓く外科医など、外科医それぞれの個性と強みを生かしたいです。多様な外科医が順天堂から世界に打って出る、そして診療チームやこれからの心臓血管外科を牽引するリーダーとなる、そういう医局を目指しています。

経歴

1999年東京大学医学部卒業。国内施設で一般外科、心臓血管外科研修後2004年よりBrigham and Women’s Hospital (Harvard Medical School教育病院)で心臓外科臨床フェロー。その後Harvard School of Public HealthでMPH課程修了、コロンビア大学病院でクリニカルインストラクター、OLVクリニック(ベルギー)でMICSフェローとして研鑽を積み、2009年より榊原記念病院スタッフ外科医。2013年より東京ベイ・浦安市川医療センター心臓血管外科部長、2019年より虎の門病院循環器センター特任部長として活躍ののち、2021年12月に順天堂大学 心臓血管外科主任教授に就任。
低侵襲心臓治療を中心として心臓外科診療を行う傍ら、心臓弁膜症カテーテルデバイス開発や医療現場システムの革新に取り組んでいる。

順天堂大学医学部附属順天堂医院

順天堂大学医学部附属順天堂医院は、特定機能病院の指定および先進医療・救急指定病院の指定を受けた総合病院です。 28の診療科と1,036床の病床を有し、1日平均899人の入院患者・平均3,515人の外来患者さんの診療を行っています。

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